配当の出し方で見る3社|配当性向・累進配当・DOEのちがい

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朝のホームルーム

キーンコーンカーンコーン。三岡新入生は、食堂で先輩たちの会話を耳にして、青い顔で教室に入ってきました。

「先輩が『あそこは累進配当だし、配当性向も気にしてる』って言ってたんです。ハイトウセイコウ? 合格発表ですか!」

ぷくっ(ふくらみ1回)。村野教頭が出席をとりながら言います。「落ち着きなさい。配当の出し方には、会社ごとに『ものさし』があります。今日は累進配当と配当性向の違いを、3社の公式ページで並べて見ます」

ものさしが分かると、ニュースに出てくる配当の数字が読めるようになります。たとえば同じ「配当を出す」でも、利益の割合で決める会社と、会社の元手の割合で決める会社があるのです。

授業:配当の出し方で見る3社

教頭「今日の軸は、配当の金額を何を基準に決めているか、です。売り買いをすすめる話ではありません。値動きの話もしません。3社は五十音順に並べるので、順位ではありません」

並べて比べるものさし3つ

教頭「たとえ話は、文化祭の屋台です。売上から材料費を引いた『もうけ』を、部員にどう分けるか。その決め方を3つ見ます」

ものさし1 配当性向。もうけの何%を配当に回すか、という割合です。もうけの40%を分けるなら、配当性向は40%。計算式は下の図のとおりで、配当の総額を、当期純利益(1年間の最終的なもうけ)で割ります。

配当性向は、配当の総額を当期純利益で割って求める。たとえば配当40億円、純利益100億円なら40%になる。

ものさし2 累進配当。「配当を減らさず、増やすか、同じ額に保つ」という方針です。累進とは、だんだん進むという意味です。去年より減らさないと決めた部費のようなものです。

ものさし3 DOE。会社の元手(純資産のうち株主の持ち分)に対して、配当をどれだけ出すかの割合です。もうけではなく、貯金箱の大きさを土台にします。ただし会社によって、元手の数え方が少しちがいます。

三岡「ドウ……DOE……泥ですか? ひぇっ、それ、月いくらからですか?」。教頭「月いくらの話ではありません。割合の話です」。そこへ井松仙人が、高下駄をカラコロ鳴らして登場です。「泥ならわしの専門じゃ。霞を食って、配当で暮らすのじゃ」。教頭「仙人、いまは授業中です」。

3つのものさしを、下の図にまとめました。1つだけを使う会社もあれば、組み合わせる会社もあります。

配当性向はもうけの何%を配当に回すか、累進配当は配当を減らさず増やすか維持する方針、DOEは会社の元手の何%を配当に回すか、という3つのものさしの表。

教頭「預金の利息と違って、配当は会社が決めるものです。この点は、別の解説記事でも詳しく書かれています」

預貯金・保険・投資は、使う時期や元本、価格変動など観点ごとに役割が違う、と整理した内容です。
参考:お金の置き場所を選ぶチェック項目(預貯金・保険・投資)

三岡「配当が多い会社が、いい会社ですか?」。教頭「多いと聞くと、うまい話のにおいがしますか。うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい。ですが、1株あたりの金額は、株価も株式の数も会社ごとに違います。株式分割をすれば、1株あたりの金額は小さくなります。だから今日は、金額の大小は比べません」。ぷくっ(ふくらみ2回)。

味の素

配当の出し方:累進配当が中心です。公式ページには「業績が一時的に悪化した場合でも減配せず、利益成長に伴い増配または維持する方針」と書かれています。配当の金額は、一時的な利益の増減の影響を受けにくい「ノーマライズドEPS」をもとにしています。

数字:2026年3月期の年間配当は48円(中間24円・期末24円)、配当性向は34.7%です。自己株式取得(自社株買い)については、総還元性向(配当と自社株買いを足した割合)50%以上、と書かれています。

出典:同社の公式IRページ「配当」(2026年10月23日確認)。

本田技研工業

配当の出し方:DOEが軸です。公式ページには「DOE(調整後親会社所有者帰属持分配当率)3.0%を目安に安定的・継続的に行うよう努めていきます」と書かれています。自己株式の取得も、適宜行うとされています。ここでいう元手は、為替などで動く部分を除いた「調整後」のものです。

数字:2026年3月期の年間配当は70円(中間35円・期末35円)です。配当性向ではなくDOEを目安にしている点が、ほかの2社との違いです。

出典:同社の公式サイト「株主還元」(2026年10月23日確認)。

三井住友フィナンシャルグループ

配当の出し方:累進配当と配当性向の組み合わせです。公式ページには「累進的配当方針および配当性向40%を維持し、ボトムライン収益の成長を通じて増配を実現してまいります」と書かれています。

数字:2026年3月期の年間配当は157円(うち中間78円)、連結配当性向(普通株式)は38.0%でした。40%は方針の数字で、1年ごとの実績とは少しずれることもあります。過去の数字は、2024年10月1日の株式3分割を反映して直してあります。

出典:同社の公式IRページ「配当」(2026年10月23日確認)。

3社の出し方を、下の表の図に並べました。方針は、将来の配当を約束するものではありません。見方は、会社ごとの言葉を、3つのものさしに当てはめることです。

味の素は累進配当で年間48円、本田技研工業はDOE3.0%を目安に年間70円、三井住友FGは累進的配当と配当性向40%で年間157円という、2026年3月期の配当の出し方を並べた表。

数字は、決算のたびに更新されます。最新の方針と金額は、各社の公式ページで確認してください。

小テスト

問題:ある会社が「もうけ(純利益)の40%を配当に回す」と決めています。この決め方を表す言葉はどれでしょう。

A 累進配当/B 配当性向/C DOE

答えはBです。配当の総額を純利益で割った割合が配当性向で、40%を目安にする、という決め方です。累進配当は減らさない方針、DOEは元手に対する割合のことです。

今日の宿題

気になる会社の公式サイトで、「配当」や「株主還元」のページを開いてください。配当性向、累進、DOEのどの言葉が使われているか、メモするだけで十分です。

校長のひとこと

シーラカンス校長は、授業の途中から「……るいしん……わしの年は……4億年……減っとらん……」と寝言を言っていました。終業のチャイムで、ぱちりと目を開けます。「……ものさしが違えば、同じ数字でも意味が違うんじゃ。わしは4億年、売ったことがない」。そしてまた寝ました。

放課後・購買部

購買部のマネッコ先輩「へい、らっしゃい! 今日のパンは、まだ釜から出ておりやせん。準備中ですので、のちほどお越しを」

教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。

次回予告

次は、セーラー服のスタモル留学生が待つピラルク留学科です。日本の配当と、ドル建ての配当は、同じものさしで測れるのでしょうか。

出典と確認日

この記事は学習用の情報で、投資の勧誘や助言ではありません。投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。ただし、授業で紹介した3社は実在の会社で、公式ページの内容を紹介したものです。