朝のホームルーム
キーンコーンカーンコーン。三岡新入生(アベニーパファー)が、ふくらむ前から息を切らして教室に飛び込んできました。
「先生、投資の本って、何冊読んだら卒業ですか。10冊ですか。100冊ですか」
ぷくっ(ふくらみ1回)。村野教頭(エレファントノーズ)が出席をとりながら、にやりと笑います。
「三岡くん。冊数を数えているうちは、まだ入学式の途中です。たとえば月1冊なら、1年で12冊。数より、読んだあとの中身です」
授業:卒業の目安は3つ
放課後の特別授業は、ホズミ先生(ポリプテルス)の書庫で行われました。扉を開けると、古文書の山。入口の「持ち出し禁止」の札のほうが、本より古そうです。
「ふむ。積んだ本は、わしより古いのう」と、白衣に丸メガネのホズミ先生。「卒業? わしは生徒歴が長いが、卒業証書はもらっておらん」
「先生、それは参考になりません」と三岡。村野教頭が黒板の前に立ちました。
「答えは、冊数ではありません。『読んだあとに、何を決めたか』です。たとえ話は、家庭科の調理実習。レシピ本を30冊読んでも、卵を割らなければ、オムレツはできません」
三岡は想像しました。レシピ本30冊と、割れていない卵。ぷくっ(ふくらみ2回)。
下の図のように、冊数で測るか、決めたことで測るかで、見え方が変わります。

目安1:何のためのお金か、言える
「2年後の引っ越し費用」「老後」「推し活の遠征費」。どれでも構いません。お金を使う時期と目的が一言で言えれば、本から拾う情報が絞れます。
目的が決まらないまま読むと、どのページも大事に見えて、付箋だらけになります。
使う時期によって、お金の置き場所の考え方は変わります。この点は、別の解説記事でも詳しく書かれています。
預貯金・保険・投資の性質の違いと、使う時期や元本の扱い、手数料など選ぶときのチェック項目を整理しています。
参考:お金の置き場所を選ぶチェック項目(預貯金・保険・投資)
目安2:自分のルールを3行で書ける
たとえば、次の3行です。
- 毎月いくらまでなら、なくなっても生活が崩れないか
- いつまで、そのお金に手をつけないか
- 値段が下がって不安になったとき、どうするか
元本割れ(預けたお金が減ること)の可能性があるのが、投資です。だからルールは、不安になる前に決めておきます。税金や契約の細かい判断は、税理士などの専門家や公式サイトで確認してください。
目安3:小さく動いて、見直せる
本を閉じたあと、小さな行動を1つ。家計の支出をメモする、制度を公式サイトで調べる、などです。動いたら、あとで見直します。
動き出す前の下ごしらえは、別の解説記事にまとまっています。
資産運用を始める前に、手取りの把握、支出の見直し、お金の3分類など7つの手順を、公的資料をもとに整理しています。
参考:資産運用を始める前の準備の手順を整理
見直すとき、本の内容が古くなっていることもあります。制度や数字は変わるので、最新の情報は公式サイトで確かめてください。
教頭は、帯の言葉にも釘を刺しました。「うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい。『この1冊で卒業』は、まず疑います」
3つの目安は、下の図のようにぐるぐる回ります。卒業とは、本に決めてもらう段階を抜けることです。勉強をやめることではありません。

ホズミ先生は、書庫の奥から黄ばんだ答案用紙を出しました。「わしの卒業テストじゃ。5つに丸がついたら、卒業としよう」

「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」と三岡。「入学金も0円の学校じゃ。テストも0円じゃ」と先生。看板どおりです。
小テスト
卒業の目安として、いちばん合っているのはどれでしょう。
A 20冊読んだ
B 読んだあとに、自分のルールを3行で書けた
C 本棚が埋まった
答えはBです。冊数や本棚の埋まり具合は、中身を教えてくれません。AとCは、調理実習で卵を割らないタイプでした。
今日の宿題
紙かスマホのメモに、「このお金は、何のため?」と書いて、答えを1行だけ添えてください。3分もあれば書けます。答えが2つ出たら、どちらも書いて構いません。
校長のひとこと
書庫の床で、いびきをかいていたシーラカンス校長が、片目を開けました。
「……読んだ本より、決めたことじゃ」
また寝ました。
放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「へい! 棚はまだ空っぽでやんす。今日のパンは準備中、入荷をお待ちくだせえ」
教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。
次回予告
卒業の目安を書いた紙をポケットに、三岡は配当ハイギョの沼の教室へ。井松仙人が、分厚い本をどんと机に置いて待っています。
出典と確認日
- この回は、投資の勉強の進め方についての一般的な考え方で書いています。制度や統計の数字は使っていません。
- 「月1冊なら1年で12冊」は、筆者の計算です(たとえばの仮の数字)。
確認日:2026年10月23日
この記事は学習用の情報で、投資の勧誘や助言ではありません。投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。