この授業では、本部の選び方を公的資料で確かめる3つの点がわかります。そして、売上予測や縛りの見方もつかめます。
朝のホームルーム
ガラガラ、ドン。三岡新入生は、フランチャイズ説明会のチラシを両手いっぱいに抱えて、教室のドアにはさまりました。「ぬけません、教頭先生」。しかも、ぷくっ(ふくらみ1回)で、よけいにぬけません。
そこで村野教頭がチラシを数枚ぬき取ります。「出席です。どれも『月商◯◯万円』『未経験でも安心』と書いてありますね」
「でも、どの本部も、よく見えるんです。本部の選び方のものさしが、ほしいです」
実は、本部の選び方で見る点の多くは、国の資料に書いてあります。しかも無料で読めて、5分で使えます。
フランチャイズ本部の
選び方は書類で見る
見る3つの点
1本部を見る点と出どころ
| 見る点 | 出どころ | 期間 |
|---|---|---|
| 本部の財務 | 貸借対照表・損益計算書 | 直近3事業年度 |
| 加盟店の数 | 店舗数の推移 | 直近3事業年度 |
| 似た立地の店 | 収支の実績 | 直近3事業年度 |
| 訴訟の件数 | 本部と加盟者の訴え | 直近5事業年度 |
2売上予測を確かめる3ステップ
3チラシのことばと質問
- その数字の根拠は?
- 本部の書類は見られる?
- 近くの出店計画は?
- 月商◯◯万円も
- 未経験でも安心
- 今ならお得
4縛りを先に見る
授業:本部の選び方、公的資料で見る3つの点
そして村野教頭がチラシをまとめて机に置きます。「チラシは本部が書いたもの。そのため、ものさしは、国の資料から借ります。3つ教えます」
また、後ろの席のマネッコ先輩が、法被の帯をしめ直します。「へい、らっしゃい! まず先輩として言うでやんす。派手なことばより、むしろ書類の数字でやんす」
要点1:本部の選び方は、すがたを書類で見る
まず、小売や飲食のフランチャイズでは、中小小売商業振興法により、本部は契約の前に書面で事項を示し、説明します。そして、事項は経済産業省令(中小小売商業振興法施行規則)で決まっています(2026年10月25日確認)。
具体的には、本部の名称・住所・従業員数、資本金、主要株主、直近3事業年度の貸借対照表と損益計算書(本部の財産と、もうけの出入りを示す書類)が含まれます。さらに、事業を始めた時期も入ります。
また、お店の動きも出ます。直近3事業年度の加盟店の店舗数の推移、立地が似た店の直近3事業年度の収支、直近5事業年度の訴訟の件数(本部が加盟者を訴えた数と、加盟者から訴えられた数)です。
次に、下の図は、見る点と出どころの一覧です。ただし、期間が3事業年度のものと、5事業年度のものがあります。

三岡「でも、財務の書類は、むずかしそうです」
教頭「最初は読み解こうとしなくてかまいません。書類が出てくるか。店の数の推移が書いてあるか。まずそこからです」
一方、法律の対象にならないフランチャイズもあります。それでも公取委は、重要な事項を書面で渡して説明することが望ましいとしています。出てこないなら、出してほしいと頼んでみます。
要点2:本部の選び方では、売上予測の「根拠」をたずねる
次に、公正取引委員会(公取委)の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」には、本部が予想売上げや予想収益を示すなら、類似した環境にある既存店の実績など、根拠ある事実と合理的な算定方法に基づく必要がある、と書かれています。
また、中小企業庁の冊子は、収益予測は売上を最小に、必要経費は最大に見積もるようすすめています。さらに、本部の予測や説明だけで決めず、自分でも立地や商圏を調べるようにとも書いています。
なお、この点は、別の解説記事でも詳しく書かれています。
フランチャイズか代理店かを選ぶ前に、お金・時間・やめる基準を書き出し、本部の数字は根拠を自分で確かめる、という記事です。
参考:代理店とフランチャイズ、始めるならどちらか
そして、下の図は、予測を確かめる3つのステップです。

要点3:本部の選び方は、縛りを先に見る
教頭「たとえ話をします。学校の購買部です。では、コバンザメ売店のすぐ隣に、もう一軒、同じ売店ができたらどうなりますか」
マネッコ先輩「うちの売上、半分こでやんす」 三岡、ぷくっ(ふくらみ2回)。
公取委の文書は、本部が加盟者の店の周辺に、同じような店を自分で出したり、ほかの加盟者に出させたりできるか(ドミナント出店)という契約の条項の有無を、開示が望ましい項目に挙げています。また、省令にも、同じ内容を書面に載せる決まりがあります。
ほかにも見ます。たとえば、契約の期間中や終了後に、ほかのチェーンへの加盟や似た事業への就業が禁じられるか。そして、定期的に払うお金(ロイヤルティなど)は何で、どう計算するか。これらも、つまり書面の事項です。
三岡「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」
教頭「月額は本部ごとに違います。そのため契約前に、金額の出し方を聞くのです。では、下の図は、チラシの言葉と、確かめる質問の対応です」

ただし、本部の選び方に、正解の1社はありません。契約や法律の判断は、弁護士などの専門家にも確認してください。
小テスト|本部の選び方の確認
問題:本部の担当者に「この立地なら、月にこのくらい売れます」と言われました。最初にたずねるのは、どれ?
- A いつから開店できますか
- B その数字の根拠(似た店の実績や計算のしかた)は何ですか
- C ほかの人にも同じことを言っていますか
答えはBです。なぜなら、公取委の文書は、予想売上げを示すなら根拠ある事実と合理的な算定方法が必要としています。
今日の宿題|本部の選び方を調べる
まず、気になるフランチャイズ本部を1つ選び、公式サイトに「店舗数の推移」や「会社概要」がのっているか探してください。そして、見つかったら、メモ帳に数字を1つ写します。無料で、5分です。
校長のひとこと
シーラカンス校長は、チラシの山を枕に寝ていましたが、チャイムで片目を開けました。「……ことばより、数字の出どころじゃ。わしは4億年、売ったことがないがの」。また寝ました。
フランチャイズでの独立・開業について、相談したい方はこちらです。(外部サイトへ移動します)
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放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「毎度、今日のパンは、いま焼いている最中でやんす。準備中ですので、少々お待ちを」
教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。
次回予告
次回は、全学科の教室が集まる入口「入学試験(ハブ)」へ。校長が目を覚ますかどうか、三岡は賭けています。
出典と確認日
- e-Gov法令検索「中小小売商業振興法施行規則」(第10条・第11条):https://laws.e-gov.go.jp/law/348M50000400100
- 公正取引委員会「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」:https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/franchise.html
- 中小企業庁「フランチャイズ事業を始めるにあたって」:https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2021/download/r3fy-FC-all.pdf
- 中小企業庁「特定連鎖化事業(フランチャイズ)について」:https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/franchise.html
- 確認日:2026年10月25日
この記事は学習用の情報で、契約や投資の勧誘や助言ではありません。契約や投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
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