この授業では、加盟前の質問を5つに絞って、本部への聞き方がわかります。そして、見学で確かめるコツもつかめます。
朝のホームルーム
さて、三岡新入生は、黒板の前を忍び足で横切って、一番後ろの席にすべり込みました。しかも手には「見学ノート」。表紙に大きく「質問リスト」と書いてあります。
すると、のぞいた村野教頭が、眉を上げました。リストの中身は、「儲かりますか?」「ほんとに儲かりますか?」「ほんとのほんとに?」。
「三岡さん、出席です。でも、それは質問ではなく、祈りです」 ぷくっ(ふくらみ1回)。
実は、フランチャイズの加盟前は、聞きたいことを決めずに見学すると、笑顔でパンフレットを抱えて帰ることになりがちです。加盟前の質問は、国の資料にヒントがあります。
加盟前の質問と見学
本部に聞く5つのこと
先に書いておく
1売上の見通しを自分でも出す
100人
800円
300日
2本部に聞く5つの質問
3加盟前の流れ(例)
4見学でやること
- 時間帯をずらして2回見に行く
- お客さんの数と競合を数える
- 現場の人に予想と実際の差を聞く
授業:加盟前の質問と、見学のしかた
そして村野教頭が黒板に「質問は5つ」と書きます。「国の資料には、加盟前のチェックの観点があります。そこから、加盟前の質問を5つ作りました」
では、下の図が、その5つです。数字、縛り、お金の3つの箱に分かれています。

また、中小企業庁の資料は、契約の前に、最低でも開示項目の全部について、十分に納得のいくまで本部から説明を受けてください、と呼びかけています(2026年10月25日確認)。加盟前の5つの質問は、そのための入口です。
要点1:加盟前の質問、数字の質問をする
1つ目は「その売上予測の根拠は何ですか」です。公正取引委員会(公取委)の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」には、予想売上げや予想収益を示すなら、類似した環境にある既存店の実績など、根拠ある事実と合理的な算定方法に基づく必要がある、と書かれています。
2つ目は「加盟店の数は、この3年でどう動きましたか」です。法律の対象になる小売・飲食のフランチャイズでは、直近3事業年度の加盟者の店舗数の推移を書面に載せる決まりがあります。
さらに、中小企業庁の資料には、本部が示す売上予測と加盟後の実態が違い、トラブルになることもある、と書かれています。そして、自分の計算とも並べます。
次に、下の図は、売上の見通しを自分でも出す計算の例です。ただし、数字は、たとえばの仮のものです。

なお、この点は、別の解説記事でも詳しく書かれています。
売上の見通しは、思いつきではなく計算の根拠を示して作る、と書かれています。業種によって式も変わります。
参考:事業計画書の書き方は?融資・補助金に使う前の質問と答え
三岡「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」
教頭「月ではなく、まず『根拠』をたずねます。さらに、冊子には、収益予測は売上を最小に、必要経費は最大に見積もることも大切だとあります」 三岡、ぷくっ、ぷくっ(ふくらみ2回)。
要点2:加盟前の質問、縛りとお金の質問をする
3つ目は「近くに同じ店を出す予定はありますか」です。公取委の文書は、ドミナント出店(本部が近くに同じような店を出すこと)ができるか否かの契約条項の有無を、開示が望ましい事項に挙げています。また、中小企業庁の冊子も、テリトリー権の有無と内容を確認しようと書いています。
4つ目は「やめるときの条件と金額は」です。さらに、同じ資料は、契約を解除する場合の条件など、契約内容をよく理解し、加盟者の義務や責任を確認しておくことが重要だと書いています。
最後に、5つ目は「払うお金の全部と、返ってくる条件は」です。また、冊子には、店舗が開店できない場合に、加盟金等が返還されるかを十分確認しようとあります。
なお、この点は、別の解説記事でも詳しく書かれています。
契約前の確認は、書面の対象か、お金、期間と解約、縛りの範囲、収支の根拠の5点で整理できます。
参考:代理店・フランチャイズ契約前の確認項目(手数料・期間・解約)
すると、後ろの席のマネッコ先輩が、帯をポンと叩きます。「へい、らっしゃい! つまり、質問は、先に紙に書いておくのが商人の作法でやんす」
要点3:加盟前の質問を持って、見学で自分の目で確かめる
教頭「たとえ話です。たとえば、学校見学で、校舎の案内は笑顔でも、給食は自分で食べて確かめますね」
次に、中小企業庁の冊子は、本部の予測や説明だけを鵜呑みにせず、自ら立地や商圏を検討・調査してみましょうと書いています。ただし、見学そのものを求める決まりは、確認した資料には書かれていませんでした。なお、ここからは、学校からの提案です。
- 時間帯をずらして、2回見に行く
- お客さんの数と、お店の周りの競合を数える
- 聞ける機会があれば、現場の人に「開店前の予想と実際の差」を聞く
また、日本フランチャイズチェーン協会(JFA)は、会員が加盟希望者と契約を結ぶときは、7日間以上の熟慮期間を確保するとしています。もっとも、会員の場合の話ですが、急ぐ必要はないという目安になります。
では、下の図は、加盟前の流れの例です。まず、説明を聞き、書面をもらい、質問と見学をして、考える期間をとってから署名します。

最後に、専門家などの第三者にも相談して、客観的な意見を聞くことを、冊子はすすめています。契約や法律の判断は、弁護士などの専門家に確認してください。
小テスト|加盟前の質問の確認
問題:本部の担当者が「この店は月にこのくらい売れます」と話しました。最初にたずねる質問は、どれ?
- A その数字は、いつ変わりますか
- B ほかの人にも同じ数字を伝えていますか
- C その数字の根拠(似た店の実績や計算のしかた)は何ですか
答えはCです。なぜなら、公取委の文書は、予想売上げを示すなら、根拠ある事実と合理的な算定方法が必要としています。
今日の宿題|加盟前の質問を書き写す
気になる本部を1つ選び、図の5つの質問を、自分のメモ帳に書き写してください。ただ、答えは、まだ空欄のままで大丈夫です。無料で、5分です。
校長のひとこと
シーラカンス校長は、見学ノートを枕に寝ていました。そして、チャイムで片目を開けます。「……聞くのは、恥ではない。聞かずに払うのが恥じゃ。わしは4億年、売ったことがないがの」。また寝ました。
フランチャイズでの独立・開業について、相談したい方はこちらです。(外部サイトへ移動します)
相談窓口へ進む
放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「今日のパンは、生地をこねている最中でやんす。準備中ですので、少々お待ちを」
教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。
次回予告
次回は、入口の教室「入学試験(ハブ)」です。10学科の先生と校長が一堂に会します。三岡の質問リストは、まだ増えています。
出典と確認日
- 中小企業庁「フランチャイズ契約を締結する前に事業や契約内容について確認しましょう」:https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/download/franchise_02.pdf
- 中小企業庁「フランチャイズ事業を始めるにあたって」:https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2021/download/r3fy-FC-all.pdf
- 公正取引委員会「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」:https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/franchise.html
- e-Gov法令検索「中小小売商業振興法施行規則」(第10条):https://laws.e-gov.go.jp/law/348M50000400100
- 確認日:2026年10月25日
この記事は学習用の情報で、契約や投資の勧誘や助言ではありません。契約や投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
この学科の記事を読む順に並べたページは、のれん分け科のまとめ|記事の一覧と読む順番です。
この記事が気に入ったら、シェアしてください
