この授業では、資金ショートが起きる流れと、開業前の備えがわかります。そして、運転資金の見方もつかめます。
朝のホームルーム
さて、三岡新入生が、通帳を胸に抱えて教室へ滑り込んできました。
「教頭先生、フランチャイズの運転資金が足りなくなって、資金ショートしたらどうなるんですか。ひぇっ、それ、月いくらからですか?」
ぷくっ(ふくらみ1回)。すると、出席をとっていた村野教頭が、名簿から顔を上げます。「落ち着きなさい。そもそも、まだ開業もしていません」
たとえば、ランチ代を先に払って、給料が翌月に入る月を想像してください。つまり、帳簿は黒字でも、通帳が先に空になることがあります。そこで今日は、資金ショートの仕組みを5分で押さえます。
フランチャイズの運転資金
資金ショートに備える
現金が足りなくなる
1設備資金と運転資金
2資金ショートまでの流れ(たとえば)
3開業時に苦労したこと(%)
公庫の調査。三つまでの複数回答で、フランチャイズに限りません。
4開業時の資金調達
5開業前の4チェック
- 自己資金と借入のバランスは?
- 半年ぶんの赤字補てん資金を考えた?
- 売上は少なめ、経費は多めに見積もった?
- 資金繰り表で不足の時期を確認した?
授業:運転資金と資金ショート
そして教頭が営業用のペンを握ります。「うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい。しかし、お金の話は、においでなく数字で見ます。要点は3つです」
1. 資金ショートの元になる運転資金は、毎回の支払いに使うお金
まず、日本政策金融公庫(以下、公庫)の「創業の手引」では、設備資金は内装費や機械、パソコン、備品、車両など。一方、運転資金は、商品の仕入れや経費の支払いに回すお金です。
では、下の図が、その違いです。また、運転資金は開業後も出ていきます。公庫の手引は、運転資金を「商品仕入、経費支払資金など」としています。フランチャイズで本部へ定期的に払うロイヤルティは、経費として定期的に出ていくお金の例と考えられます(筆者の整理)。

すると、法被姿のマネッコ先輩が横から口を挟みます。「へい、らっしゃい! 実は、購買部のパンも同じでやんす。仕入れ代は先払い、現金が戻るのは売れてからでござんす」
2. 資金ショートの入口は、開業の最初にいちばん苦労する資金繰り
次に、公庫の総合研究所が2025年8月に行った調査(公庫の融資を受けた、開業後1年以内の企業が対象。フランチャイズに限りません)を見ます。開業時に苦労したこと(三つまでの複数回答)の1位は、「資金繰り、資金調達」の56.9%でした。

さらに、同じ調査で、開業時の資金調達額は平均1,219万円。借り入れが平均827万円(67.9%)、自己資金が平均279万円です(2026年10月25日確認)。
つまり、資金繰りとは、現金の出入りを見て、お金が足りなくなるのを防ぐこと。公庫の手引は、帳簿上は黒字でも、支払いに回す資金が不足すると苦しくなる、と説明しています。
このように、流れは、先に払う、入金はあと、現金が減る、足りなければ資金ショート、の順です。

三岡の顔色が青くなり、ぷくっ(ふくらみ2回)。「でも、黒字なのに、足りなくなるんですか」
また、手引は、苦しくなる原因として、入金と支払いのバランスが崩れること、借入金の返済のように経費にならない支出が多いこと、運転資金を設備資金に流用することを挙げています。なお、この点は、別の解説記事でも詳しく書かれています。
仕入れの支払いが先で入金があとだと、その間は自分のお金で立て替える状態になります。
参考:売上は立つのに現金が減る原因|在庫を営業件数に割る方法
3. 資金ショートへの備えは、開業前に4つ確かめる
まず、公庫の「創業計画書セルフチェック」には、事業開始後の運転資金(半年程度の赤字補てん資金など)を検討したか、自己資金が少なく借入に頼りすぎていないか、という項目があります。
さらに、中小企業庁の資料は、本部から受けた売上予測や経費予測と現実が乖離することがあると注意し、収益予測は売上を最小に、必要経費は最大に見積もることも大切としています。

また、公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、運転資金にも使えます。ただし、借りられるかは審査で決まります。
事業計画書では、資金を設備資金と運転資金に分け、調達方法と合計がそろうよう整理します。
参考:事業計画書の書き方は?融資・補助金に使う前の質問と答え
最後に、契約や借入れ、税金の判断は、専門家にも確認してください。
小テスト|資金ショートの確認
たとえば、開業2か月目。帳簿は黒字ですが、来週の仕入れ代の現金が足りません。次の一手は、どれでしょう。
- A 入金予定と支払い予定を並べた資金繰り表をつくる
- B 運転資金を内装の追加工事に回す
- C 本部の売上予測を信じて、何もしない
答えはAです。資金ショートを避けるため、手引は、資金繰り表で運転資金の不足見通しを事前に確認するよう勧めています。
今日の宿題|資金ショートの備えを読む
まず、公庫の創業計画書セルフチェックを開いて、運転資金と自己資金の2項目を、声に出して読んでみましょう。しかも5分で終わり、費用はかかりません。
校長のひとこと
そして、授業中ずっと眠っていたシーラカンス校長が、最後に片目だけ開けます。
「…潮だまりは、満ちる前に、干上がることがあるのう。わしは4億年、売ったことがない。…ぐう」
フランチャイズでの独立・開業について、相談したい方はこちらです。(外部サイトへ移動します)
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放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「今日のパンは、いま仕入れ中でやんす。準備中ですので、少々お待ちを」
教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。
次回予告
次は、校舎の入口に戻ります。入学試験の教室で、校長が待っています。ウハウハ高等学校の入学試験(ハブ)はこちらです。
出典と確認日
- 日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年12月5日公表):https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_251205_1.pdf
- 日本政策金融公庫「創業の手引」:https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/pdf/sougyou_tebiki_book_202406.pdf
- 日本政策金融公庫「創業計画書セルフチェック」:https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/sougyouselfchek/page_3/
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html
- 中小企業庁「フランチャイズ事業を始めるにあたって」(第9章「フランチャイズ契約を締結する前にチェックすべきポイント」):https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2021/download/r3fy-FC-all.pdf
- 確認日:2026年10月25日
この記事は学習用の情報で、契約や投資の勧誘や助言ではありません。契約や投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
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