朝のホームルーム
三岡新入生が、新聞を抱えて教室に駆け込んできました。
「先生、日本特殊陶業の決算です。純利益が2.1倍だそうですが、ひぇっ、それ、月いくらからですか?」
驚いた三岡は、ぷくっとほっぺをふくらませました。
村野教頭が名簿を開き、出席をとります。
村野教頭は、今日のプリントを全員に配りました。
三岡は、表紙の大きな数字を見て目を丸くします。
窓際の席では、井松仙人が湯のみを手に、静かにうなずいていました。
日本特殊陶業の中間決算
純利益は2.1倍
第2四半期
1主要数字
| 項目 | 実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 中間純利益 | 1,100億円 | 2.1倍 |
| 第1四半期の四半期利益 | 973億円 | +307.7% |
| 7〜9月期の純利益 | 127億円 | ▲56.0% |
2数字で見る
3予想と配当
4数字で見る
授業:日本特殊陶業の中間決算
村野教頭が黒板の前に立ちました。
教室の全員が、プリントに目を落としました。
「要点は3つです。今日は、利益の中身を見る練習をします」

要点1:上期の最終利益
4〜9月の6か月分の合計が、上期の実績です。
純利益は、税金などを差し引いた最終的な利益です。
日本特殊陶業の第2四半期累計の純利益は、1,100億円でした。
前年同期と比べると、2.1倍に増えています。
会社が従来示していた予想は、7.3%の減益の見込みでした。
実績は一転して、増益で着地しています。
予想と実績の差を見ることは、決算を読む基本の作業です。
ただし、直近3か月の7〜9月期の数字は様子が違いました。
7〜9月期の純利益は127億円で、前年同期より56.0%減りました。
売上営業利益率も、20.5%から19.7%へ下がっています。
上期の合計と、直近3か月では、数字の向きが分かれた決算です。
累計の数字だけでは、最近の勢いは分かりません。
だからこそ、3か月ごとの数字も並べて見ます。
要点2:評価益が押し上げた中身
上期の純利益が増えた背景には、大きな評価益があります。
第1四半期には、投資有価証券の評価益995億円が計上されました。
その期の四半期利益は973億円で、前年同期の307.7%増でした。
上期累計の最終利益の拡大は、この評価益の影響が大きい構図です。
評価益は、保有する株式などの価値が上がった分の利益です。
実際の売却がなくても、会計の計算では利益に数えられます。
本業の動きと、評価益のような一時的な数字は、分けて読む必要があります。
「うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい。大きな数字ほど、中身を確かめます」
村野教頭は、チョークで評価益の文字を囲みました。
要点3:通期予想の上方修正と配当
通期の純利益の予想は、1,050億円から1,250億円へ引き上げられました。
修正の幅は19.0%で、前期と比べると10.7%の増加となります。
実現すれば、6期連続で過去最高益を更新する見通しです。
年間の配当は、157.5円から178.5円へ増額されました。
増配は、配当の計画を引き上げることです。
この金額は、1対2の株式分割のあとの金額です。
前期の205円は分割前の金額ですので、比べるときは注意が必要です。
株式分割のあとは、1株の金額の単位が変わります。
配当を比べるときは、分割の前後をそろえて見ます。
上方修正は、会社が年間の見通しを引き上げることです。
ここで、井松仙人がうなずきました。
「霞を食って、配当で暮らすのじゃ」
「仙人、増配の前に中身の確認ですよ」と三岡が笑います。

教室の空気が、少しだけ和らぎました。
村野教頭は最後に、読み方の順番を伝えました。
「まず累計の数字を見て、次に直近3か月を見ます。最後に、年間の予想と比べます」
三岡は、その順番をノートの端に書き留めました。
小テスト
小テストです。日本特殊陶業の上期の純利益を押し上げた、大きな要因はどれですか。
A:投資有価証券の評価益 B:店舗の増加 C:社名の変更
答えはAです。第1四半期に995億円の評価益が計上されました。
大きな数字を見たら、中身を分けて考えることが大切です。
校長のひとこと
シーラカンス校長は、職員室の水槽の中で眠っていました。
プリントの音で、校長が片目をゆっくり開けます。
水槽の泡が、静かに1つ上がりました。
「わしは4億年、売ったことがない。大きな数字ほど、静かに見る」

校長はそう言って、また眠りにつきました。
三岡は、校長の言葉を小さく復唱しました。
上場制度や株価の公式情報は、日本取引所グループ(JPX)が公表しています。決算の速報値や業績の推移は、株探の銘柄ページでも確認できます。
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出典と確認日
- TDnet適時開示「2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)」
確認日:2026年10月30日
この記事は学習用の情報で、投資の勧誘や助言ではありません。投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
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