朝のホームルーム
朝の教室です。三岡新入生が駆け込んできました。
「村野教頭、TDKの決算が出たそうです。純利益が58.4%も増えたんですって」
三岡は驚いて、ぷくっ、とふくらみました。村野教頭は出席簿を開きます。「出席をとります。今日は、伸びた理由を会社の説明から読む練習です」

窓際では、井松仙人が目を細めました。「電子部品の会社じゃ。数字の出どころを見よう」
三岡はノートに、会社の名前を大きく書きました。
TDKの決算
純利益は+58.4%
中間決算
1数字で見る
2主要数字
| 項目 | 上期実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1兆5,605億円 | +31.9% |
| 営業利益 | 2,081億円 | +41.0% |
| 税引前利益 | 2,130億円 | +44.5% |
| 中間純利益 | 1,764億円 | +58.4% |
3予想と配当
4ポイント
- 1株当たり中間純利益は92.9円
- 海外売上高は前年同期比32.1%増
授業:AIデータセンター向けが伸びたTDK
村野教頭が黒板の前に立ちました。「TDKの2027年3月期、中間決算を見ます。要点は3つです」
要点1:すべての段階利益が増えました
売上高は1兆5,605億円で、前年同期より31.9%増えました。
営業利益は2,081億円で41.0%増、税引前利益は2,130億円で44.5%増です。親会社の株主に帰属する中間純利益は1,764億円で58.4%増え、1株当たりの中間純利益は92.9円でした。
海外売上高は前年同期より32.1%増えています。売上と利益がそろって伸びた上期でした。
段階利益とは、営業利益、税引前利益、純利益のように、計算の段階ごとに示される利益のことです。すべてが増えたという点が、今回の特徴です。
海外売上高の伸びは、売上全体の伸びとほぼ同じ大きさです。海外向けが全体を引っ張った形が見えます。
売上高の伸びが3割を超える決算では、利益の伸びがそれ以上になることもあります。今回は、段階ごとに利益の伸びが大きくなっています。
要点2:理由は会社の説明にあります
会社の説明によれば、円安の進行やAIデータセンター向け製品の出荷増が後押ししました。合理化や、前期に行った構造改革の効果も挙げられています。
村野教頭は言いました。「うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい。理由は感想ではなく、会社の説明と数字で確かめます」
どの製品分野に需要が広がっているかは、短信のセグメント情報で確認するのが次の課題です。
円安は、海外で稼いだ売上の円換算を押し上げる方向に働きます。ただし、為替だけでは説明できない部分は、製品の出荷の伸びで確かめます。
構造改革は、事業や組織の見直しのことです。前期に行った見直しの効果が、今期の利益に出ることもあります。理由を読むときは、会社が挙げた順番にも注目します。
要点3:通期予想の上乗せと増配です
通期の最終利益の予想は、2,250億円から2,800億円へ24.4%引き上げられました。3期連続の過去最高益という従来の予想を、さらに上乗せした形です。
年間配当も従来計画の40円から50円へ10円増額されました。前期は36円でした。
予想の引き上げは、従来の予想と新しい予想を並べて比べます。配当も、従来計画と前期の実績を並べて見ると、方針の変化が分かります。金額の大小だけで判断しないことが大切です。
三岡が首をかしげます。「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」

「配当は月払いではありません。1株あたり、年間の合計です」と村野教頭は答えました。
井松仙人がつぶやきます。「霞を食って、配当で暮らすのじゃ」

「先生、まずは決算を読む力を付けるところからです」と村野教頭が返しました。
村野教頭は言いました。「では、小テストです。予想と実績を取り違えないように」
小テスト
TDKの通期の最終利益の予想は、今回いくらに引き上げられたでしょう。
三岡は、上期の実績と通期の予想をノートで見比べました。
A:1,764億円 B:2,250億円 C:2,800億円
答えはCです。1,764億円は上期の実績、2,250億円は修正前の予想です。
校長のひとこと
職員室では、シーラカンス校長が眠っていました。ふと目を開けて、ひとこと言いました。
「わしは4億年、売ったことがない。理由のある数字は強い」
そう言って、また眠りました。
上場制度や株価の公式情報は、日本取引所グループ(JPX)が公表しています。決算の速報値や業績の推移は、株探の銘柄ページでも確認できます。
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出典と確認日
- TDnet適時開示「2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)」(TDK、2026年10月30日開示)
- 数字は決算速報の報道で照合しました
- 確認日:2026年10月30日
この記事は学習用の情報で、投資の勧誘や助言ではありません。投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
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