朝のホームルーム
キーンコーンカーンコーン。三岡新入生(アベニーパファー)が、校舎の屋根を指さしました。「教頭先生、あの屋根のパネルは、お金を産む魚ですか?」
村野教頭(エレファントノーズ)は出席簿をぱたんと閉じます。「産むかどうかは、条件しだいです。今日は太陽光発電投資の始め方です」
屋根の上では、ヘルメット姿のムコブカ主任(デンキウナギ)が指差呼称中です。「放電は得意、貯めるのは苦手。安全確認、ヨシ!」
実は、契約の前に国の公式ページを開くだけで、「買い取りは何年か」が分かります。所要5分。ランチのメニューを選ぶより短い時間です。
授業:太陽光発電の始め方
教頭が黒板に書きました。「始め方は4歩です。仕組みを知る、お金の流れを見る、安全と保守を決める、契約の前に確かめる。ハンコは最後です」

第1歩:国が「買い取る」と約束する仕組み
太陽光でつくった電気は、固定価格買取制度(FIT)で売れます。電力会社が一定の価格で一定の期間買い取ることを、国が約束する制度です。対象は太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの5つです(2026年10月23日確認)。
買取期間は、10kW未満(住宅の屋根など)が10年、10kW以上は20年です。電気の法律上の区分も、出力で変わります。下の図に並べました。

買取価格は、年度ごとに国が決めます。最新の表は、資源エネルギー庁の「買取価格・期間等」のページで見られます(2026年4月現在の内容)。
注意が1つあります。事業用の地上設置(10kW以上)は、2026年度の落札案件を除き、2027年度以降は国の買取制度(FITとFIP)の新規認定の対象になりません。資源エネルギー庁がそう示しています。
三岡「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」
教頭「月払いの話ではありません。設備を買う、最初の費用の話です」
第2歩:お金の流れを、割り算で見る
収入は、電気を売ったお金です。そこから点検や修理の費用を引きます。残った手残りで最初の費用を割ると、回収にかかる年数の目安が出ます。

図は、300万円の設備で年30万円残るなら10年、という仮の計算です。実際は天気で発電量が変わり、故障もあります。毎年同じ金額とは限らず、回収できない可能性もあります。三岡は、ぷくっ(ふくらみ1回)。
この点は、別の解説記事でも詳しく書かれています。
太陽光は発電した電気を売る投資で、蓄電池は市場の価格差などを狙う投資。収益の源泉や土地条件、リスクの出方が違うと、7項目で比べています。
参考:太陽光投資と蓄電池投資を7項目で比べる解説
固定価格でも、利益が一定とは限らない点も、別の記事で触れられています。
FITは買取の単価が決まっていても、発電量や出力制御、故障、保守費で利益が変わり、毎年一定とは限らないと整理しています。
参考:太陽光投資と蓄電池投資の収益源・運用・土地条件の違い
第3歩:安全と保守は、先に決める
電気の設備なので、感電や火災の安全が先です。10kW以上50kW未満は「小規模事業用電気工作物」という区分で、使用開始前に基礎情報を届け出る義務があります(2023年3月20日から)。50kW以上は、電気主任技術者の選任なども必要です(経済産業省の手引き)。
資源エネルギー庁の事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)には、点検項目と予定を入れた保守点検・維持管理の計画をつくること、事故のときの対応方針を事前に決めることが書かれています。将来の廃棄費用を計画的に確保する項目もあります。
主任がうなずきます。「保守は屋根の掃除だけじゃない。計画と記録だ。ヨシ!」
第4歩:契約の前に、3つ確かめる
最後が契約です。営業の説明だけで決めず、紙で確認します。確かめるのは、買取期間、点検の計画と費用、事故のときの連絡先の3つです。

この3つに答えられない相手とは、まだ契約しないほうが安全です。教頭「うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい」。税金や契約の判断は、税理士や弁護士などの専門家にも確認してください。
蓄電池・太陽光の事業化について、事業者に相談したい方はこちらです。(外部サイトへ移動します)
相談窓口へ進む
小テスト
問題:太陽光発電の話を聞いたとき、最初にやることは?
- A 「今だけ」と言われたので、その日に契約する
- B 買取期間と、点検の計画を確かめてから比べる
- C 利回りが高そうな話を選ぶ
答えはBです。ハンコは最後。買取期間と保守の計画を言えるかが、最初の分かれ道です。
今日の宿題
資源エネルギー庁の「買取価格・期間等」のページを開き、10kW未満と10kW以上の買取期間を、スマホのメモに書き写してください。5分で終わり、お金もかかりません。
校長のひとこと
ここまでぐっすり寝ていたシーラカンス校長が、ぱちりと目を開けました。「……屋根より先に、足もとを見るのじゃ」
また寝ました。
放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「へい、らっしゃい!今日のパンは仕入れ中でやんす。準備中ですので、少々お待ちを」
教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。
次回予告
次に三岡が向かうのは、サロン見極め科です。軍服姿のニッコリ先生が、入学金の「元」を取りに来るそうです。
出典と確認日
- 資源エネルギー庁「なっとく!再生可能エネルギー」制度の概要:固定価格買取制度(FIT・FIP制度)
- 資源エネルギー庁「買取価格・期間等」(2026年4月現在):買取価格・期間等
- 資源エネルギー庁「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」:ガイドライン本文(PDF)
- 経済産業省「太陽電池発電設備を設置する場合の手引き」:手引きのページ
- 確認日:2026年10月23日
この記事は学習用の情報で、契約や投資の勧誘や助言ではありません。契約や投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。