朝のホームルーム
三岡新入生が、薬の名前がたくさん書かれたメモを持って教室に入ってきました。
「教頭先生、アッヴィの決算です。薬の名前が多くて、どれが売上を引っ張ったのか分かりません。」
三岡は聞きました。「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」

三岡のほっぺが、ぷくっ(ふくらみ1回)とふくらみました。
村野教頭が出席簿を開きます。「出席をとります。アッヴィの決算を、分野ごとに読みます。」

アッヴィ決算
売上は 174億ドル
7〜9月期
1主要数字(ドル)
| 項目 | 実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上 | 174億 | +10.3% |
| EPS | 2.37 | – |
| 調整後EPS | 3.82 | – |
| 免疫分野の売上 | 91.7億 | +16.3% |
2主力薬の売上
3確かめる点
授業:主力薬の伸びで、売上と見通しが上がった四半期を読む
村野教頭が黒板に要点を3つ書きました。
要点1:売上は174億ドルで10.3%増、調整後EPSは3.82ドル
アッヴィの2026年7月から9月の決算です。世界全体の売上は174億400万ドルで、前年同期比10.3%増でした。為替の影響を除いた事業ベースでは10.5%増です。
EPSは2.37ドルでした。調整後EPSは3.82ドルです。調整後の数字には、買収した研究開発などに関わる費用として、1株0.11ドルの不利な影響が含まれています。
売上と利益の伸びを受けて、会社は通期の見通しを引き上げました。その中身を次で見ます。
スタモル留学生がセーラー服の袖をまくりました。「ワタシの川では、ぜんぶドル建てデス。数字はドルで読みます。」
要点2:免疫分野は92億ドル、主力2薬で85億ドル
免疫分野の売上は91億6,500万ドルで、16.3%増でした。このうちスキリージは57億7,600万ドル、リンヴォックは27億600万ドルです。2つを合わせると約85億ドルになります。
一方、ヒュミラの売上は6億8,300万ドルでした。神経分野の売上は33億8,900万ドルで19.4%増、美容分野は11億7,600万ドルで1.4%減です。
分野ごとに伸びが違います。全体の10.3%増だけでは、会社の今の姿は見えません。
村野教頭は言いました。「うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい。だから数字を分けて読みます。」

要点3:通期の調整後EPS見通しは13.95〜13.99ドルへ
会社は2026年通期の調整後EPSの見通しを、13.95ドルから13.99ドルへ引き上げました。前の見通しは13.76ドルから13.96ドルでした。
新しい見通しには、今年に入ってからの買収関連の研究開発費用など、1株0.69ドルの不利な影響が含まれています。
2027年の配当を5.2%増やし、1株1.82ドルとすることも発表されました。2027年2月支払い分からです。アポギー・セラピューティクスの買収完了も発表されています。
ここで、アッヴィの決算の読み方を整理します。最初に売上と利益を置き、次に部門や分野ごとの数字を見ます。全体が増えていても、伸びた場所と抑えられた場所は違うからです。
そのあと、現金の動きを見ます。利益が出ていても、現金が伴うかどうかは別の話です。営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローを並べると、利益の質が見えてきます。
三岡はうなずきました。「全体、部門、現金、見通し。順番に置くと、ニュースの大きな見出しに流されませんね。」教頭は黒板をたたきました。そのとおりです。数字は、比べる相手と並べて初めて意味を持ちます。前の四半期や前年同期と比べる癖をつけます。
最後に、会社が出した見通しと配当を見ます。見通しは約束ではなく、会社の今の前提です。前の見通しから変わった点だけを拾い、数字の根拠は公式発表で確かめます。この順番が、決算を読むときの基本です。
小テスト
この決算で、売上を分野ごとに分けて見る理由は何でしょう。
A:売上だけを見る B:免疫分野など、分野ごとの売上を分けて見る C:配当だけを見る
答えはBです。免疫分野など、分野ごとの売上を分けて見ることが、決算を読む基本だからです。
校長のひとこと
シーラカンス校長は授業のあいだ寝ていましたが、目をひとつ開けました。
「薬は名前ごとに育ち方が違うのじゃ。わしは4億年、売ったことがない。」
校長はまた寝ました。
決算資料を含む同社の公式開示は、米証券取引委員会のSEC EDGAR(ABBVの提出書類)で確認できます。株価や企業概要は、取引所のNASDAQ公式の銘柄ページでも確認できます。米国株の決算発表の日程は、NASDAQ決算カレンダーで確認できます。
合わせて読みたい
出典と確認日
- アッヴィ公式発表「AbbVie Reports Third-Quarter 2026 Financial Results」(2026年10月30日発表)
確認日:2026年10月31日
この記事は学習用の情報で、投資の勧誘や助言ではありません。投資の判断はご自身でお願いします。
先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
この学科の記事を読む順に並べたページは、ピラルク留学科のまとめ|記事の一覧と読む順番です。
この記事が気に入ったら、シェアしてください
関連サイト
- コミッターズ:営業と販路開拓の実務コラム
- 令和の総合商社:あらゆる商いを、ひとつの窓口から
- SAMURAI TIMES:経営者のための士業情報メディア
- ニコニコデスク:仕事と暮らしの実務メディア
- 今日一日:心と生き方を整えるメディア
- HYPE:クリエイターのためのメディア
- 源氏小町:美容と健康のメディア
- Antithesis:常識を疑うメディア
- BUTSU×2:スキルと物の物々交換
- みんなの企業新聞:経営者の出会いと販路づくりの新聞
- ENERGY BANK:系統用蓄電池の専門メディア
- はてなブログ(ウハウハ高等学校|投資の教室):投資の教室
- アメブロ(令和の総合商社):令和の総合商社のアメブロ
- note(コミッターズ):コミッターズのnote
