朝のホームルーム
キーンコーンカーンコーン。2年B組の三岡新入生(アベニーパファー。世界最小級のフグ)の机で、本の山が「ずずず」と崩れました。ぶかぶかの袖から、投資の本がさらに3冊、ぽろり。
「先生! 初心者におすすめの投資の本は、どれから読めばいいんですか!」ぷくっ(ふくらみ1回)。
出席をとる村野教頭(エレファントノーズ)が、山の下をのぞきました。「三岡くん、出席。……山の下の本も、出席ですね」
「今日は『読み切れる順』で入門書TOP5を発表します。たとえば1日10分読むと、1か月で約5時間(10分×30日)。その5時間を、積ん読ではなく知識にしましょう」
授業:読み切れる順TOP5
黒板の前に、白衣に丸メガネのホズミ先生(ポリプテルス)が立ちました。本の山を見上げて、ひとこと。
「ふむ。積んだ本は、わしより古いのう」
「買って3日です」と三岡。村野教頭が、採点の物差しを3つ書きました。たとえ話は給食です。
- 読み切りやすさ:ページ数。給食の量です。多いと残します
- やさしさ:出版社の紹介。給食の味付けです。食べやすいかどうか
- 定番度:版を重ねたか。何年も献立に残る、定番メニューです
各5点満点で、合計15点。下の図のとおりです。

読み切りやすさは、250ページ以下で5点、251〜290ページで4点、291〜320ページで3点、321〜360ページで2点。やさしさは、基本の2点に、初心者向けの明記、始め方の手順、会話・Q&A形式のあてはまる数を足します。定番度は、改訂版などの表記で2点(第3版以降はもう1点)、売れ行きの記載があれば2点です。
採点は公開情報をもとにした学校内の独自評価で、実際に読んだ感想ではありません。見たのは、書店と図書館の公開ページの情報(出版社、刊行年、ページ数、内容紹介、目次)だけです。
ページ数を並べると、下の図のとおりです。いちばん薄い本は約220ページ、いちばん厚い本は324ページ。

採点の結果が、次の順位ボードです。

見方は3ステップです。合計点を見て、同点ならページ数が少ない方を上にして、最後に自分に合うか確かめます。

1位 『ほったらかし投資術 全面改訂第3版』
山崎元・水瀬ケンイチ著、朝日新聞出版(朝日新書)、2022年3月刊、約220ページ。合計14点です。
とにかく薄い1冊目がほしい人向けです。出版社の紹介では、インデックス投資(市場全体の動きに近づけるシンプルな投資)の入門書で、前の版より運用方法を簡潔にした改訂版とされています。目次には「実行マニュアル」「よくある質問にお答えします」の章があります。
2位 『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください! 超改訂版』
山崎元・大橋弘祐著、文響社、2023年12月刊、300ページ。合計12点です。
質問魔の人向けです。お金の初心者が、経済評論家の山崎元氏に尋ねる会話形式で、目次には「お金を安全に持っておく編」「持ち家や保険はアリ!?お金の使い方編」などが並びます。
3位 『はじめての人のための3000円投資生活 新NISA完全対応版』
横山光昭著、アスコム、2023年刊、272ページ。合計10点です。
貯金が少なくても始めたい人向けです。出版社の紹介では、投資が初めての人や貯金が少ない人も対象で、積立でコツコツ続ける考え方や「いつ、いくら投資すればいいのか」の悩みを扱っています。
「少額から、という本ですね。ひぇっ、それ、月いくらからですか?」と三岡。「タイトルに書いてあります」と教頭。
NISA(少額投資非課税制度。一定の範囲で、運用で得た利益に税金がかからない国の制度)の2つの枠の違いは、別の解説記事でも詳しく書かれています。
NISAの2つの枠について、年間の投資枠、非課税の限度額、買える商品の違いを、金融庁の資料をもとに整理しています。
参考:つみたて投資枠と成長投資枠の違いを制度から整理
教頭が帯を指でつまみます。「うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい。本に出てくる商品名は、その著者の考えです。買うかどうかは、自分で調べて決めます」
4位 『お金は寝かせて増やしなさい 改訂版』
水瀬ケンイチ著、フォレスト出版、2024年刊、304ページ。合計9点です。
始め方だけでなく、続け方とやめ時まで見通したい人向けです。出版社ページには「インデックス投資歴20年の実践者が個人投資家目線で世界一やさしく解説」とあり、目次には、続けることの難しさや「インデックス投資の終わらせ方」の章があります。
5位 『本当の自由を手に入れる お金の大学 改訂版』
両@リベ大学長著、朝日新聞出版、2024年11月刊、324ページ。合計9点です。4位と同点ですが、ページ数が多いので5位です。
投資の前に、お金の全体像を見たい人向けです。目次は「貯める」「増やす」「稼ぐ」「使う」「守る」の5本立てで、投資は「増やす」の一部。丸善ジュンク堂の紹介では、累計142万部の本の改訂版とされています。
三岡は324ページの厚みに、ぷくっ(ふくらみ2回)。「辞書ですか」「入門書です」と教頭。
どの本を選ぶ前にも、お金の整理をしておくと読みやすくなります。この点も、別の解説記事にまとまっています。
資産運用を始める前に、手取りの把握、支出の見直し、お金の3分類など7つの手順を、公的資料をもとに整理しています。
参考:資産運用を始める前の準備の手順を整理
なお、投資には預けたお金が減る「元本割れ」の可能性があります。税金や制度の細かい判断は、税理士などの専門家や公式サイトで確かめてください。順位は学校内の物差しで、本のよしあしではありません。
小テスト
この学校の採点で、合計点が同じだったときの決め方はどれでしょう。
A ページ数が少ない方を上にする
B 書名の五十音順にする
C 帯の言葉が派手な方を上にする
答えはAです。読み切れる順の授業なので、薄い方が上です。Cを選ぶ生徒は、帯だけ読んで満足するタイプです。
今日の宿題
TOP5の中から気になる1冊を選び、図書館の蔵書検索で書名を調べてみてください。借りられるか確かめるだけで、0円・5分です。買うのは、その後で構いません。
校長のひとこと
教卓のかげで寝ていたシーラカンス校長が、片目を開けました。
「……順位より、最後のページじゃ」
また寝ました。
放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「へい、らっしゃい! 今日のパンは仕入れ中でやんす。準備中ですので、のれんの前でお待ちを」
教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。
次回予告
本の山を抱えた三岡が、次に向かうのは泥の中の教室です。配当ハイギョの沼で、井松仙人が霞を食べながら待っています。
出典と確認日
- 紀伊國屋書店「ほったらかし投資術(全面改訂第3版)」
- 国立国会図書館サーチ「ほったらかし投資術」(222ページの表記)
- 紀伊國屋書店「難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!(超改訂版)」
- 紀伊國屋書店「はじめての人のための3000円投資生活 新NISA完全対応版」
- 丸善ジュンク堂書店「はじめての人のための3000円投資生活 新NISA完全対応版」
- 紀伊國屋書店「お金は寝かせて増やしなさい(改訂版)」
- 紀伊國屋書店「本当の自由を手に入れるお金の大学(改訂版)」
- 丸善ジュンク堂書店「改訂版 本当の自由を手に入れる お金の大学」(累計142万部の記載)
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト」
確認日:2026年10月23日(書店により発売月やページ数の表記が少し異なる本があります。この記事では、上のページに載っている情報を使いました)
この記事は学習用の情報で、投資の勧誘や助言ではありません。投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。