朝のホームルーム
キーンコーンカーンコーン。2年B組の教室に、三岡新入生(アベニーパファー。世界最小級のフグ)が入ってきました。ぶかぶかのブレザーの前で、本を7冊も抱えています。
「投資の本を買ったのに、読み切れないんです」
机に置いた瞬間、山がぐらり。ぷくっ(ふくらみ1回)。村野教頭(エレファントノーズ)が出席簿を閉じました。
「今日は『読み切る3つのコツ』です。たとえば通勤の10分を本に回すと、20日で約200分。3時間を超えます。山は、崩せます」
授業:読み切る3つのコツ
黒板に、村野教頭が大きく「3」と書きました。営業スーツの袖が、チョークの粉で真っ白です。
「たとえ話は、校庭のマラソン大会でいきましょう。いきなり42キロは走れません。まず、校庭1周です」
3つのコツは、下の図のとおり。薄い本から始めて、1章ずつ付箋を貼り、読んだら1つだけ実行します。

そこへ、白衣に丸メガネのホズミ先生(ポリプテルス)が通りかかり、三岡の机をのぞき込みました。
「ふむ。積んだ本は、わしより古いのう」
「先生、まだ新刊ばかりです」と三岡。本を買った帰り道は、少し賢くなった気がしていました。気がしただけです。
コツ1:いちばん薄い本から読む
山の中で一番薄い1冊を、最初に選びます。校庭1周を走り切る感じです。
薄い本は、話題がしぼってあることが多いです。浅いとは限りません。「最後までたどり着いた」という経験が、次の1冊を軽くしてくれます。
分厚い本は、2冊目以降のごほうびにとっておきましょう。
コツ2:1章ずつ読んで、付箋を1枚
章の終わりで、いったん止まります。そして付箋(ふせん)を1枚貼ります。マラソンコースの「あと何キロ」の看板のようなものです。
書くのは3種類だけ。「なるほど」「わからない」「やってみる」です。下の図のとおり、わからない所は無理に解決せず、飛ばして先へ進みます。読み切ることが先です。

教頭が補足します。「付箋は3色ありますが、信号機ではありません。止まらなくていいのです」
コツ3:読んだら1つだけ実行する
読み終えたら、小さな行動を1つだけ選びます。ここがいちばん大事です。
「実行って、積立のことですか? ひぇっ、それ、月いくらからですか?」と三岡。
「早い。お金を出さなくていいのです」と教頭。実行の例は、次のようなものです。
- 毎月の支出を3つに分けて、メモする
- 本に出てきた制度を、公式サイトで調べる
- わからなかった言葉を1つ、書き出す
教頭が眼鏡を直しました。「うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい。『読むだけで資産が増える』という帯は、まず疑います」
「誰かに話す前提」で読むのも、立派な実行です。この点は、別の解説記事でも詳しく書かれています。
読んだだけで終わらせず、誰かに話す前提で読み、3行で要約する習慣を、新聞の読み方を例に紹介しています。
参考:新聞を「誰かに話す前提」で読む習慣
投資には、買ったときより値段が下がり、元本割れ(預けたお金が減ること)になる可能性があります。本を読んですぐ買う必要はありません。使う予定のないお金で、よく調べてから決めれば間に合います。
この3つを1週間に並べると、下の図のようになります。たとえばの予定なので、ペースは自分に合わせてください。

月曜は目次、火曜から木曜は1日1章、金曜は付箋の見返し、土曜に実行を1つ選び、日曜に実行してメモを1行。これで薄い1冊が終わります。
三岡は、7冊のうち一番薄い1冊を引っぱり出しました。山はまだ6冊あります。でも、さっきより低く見えます。
小テスト
三岡が積んだ7冊のうち、最初に読む1冊はどれがよいでしょう。
A いちばん分厚い、定番と呼ばれる本
B いちばん薄くて、読みやすそうな入門書
C 帯の言葉がいちばん派手な本
答えはBです。薄い本で完走した経験が、次の1冊を読む力になります。Aから始めると、校庭1周のつもりが、フルマラソンのスタート地点に立つことになります。
今日の宿題
机や本棚で、いちばん薄い本を1冊選んでください。今日は目次だけ読みます。5分で終わります。気になった章に付箋を1枚貼れたら、満点です。
校長のひとこと
授業のあいだ、本の山のてっぺんで寝ていたシーラカンス校長が、ぱちりと目を開けました。
「……1ページ目からじゃ」
また寝ました。
放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「へい、らっしゃい! 付箋のパンは仕入れ中でやんす。準備中ですので、少々お待ちを」
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次回予告
次の教室は、足元がぬかるんでいます。長靴をはいた三岡が向かうのは、配当ハイギョの沼。井松仙人が「まず座るのじゃ」と手招きしています。
出典と確認日
- この回は、読書の進め方の一般的な考え方で書いています。制度や統計の数字は使っていません。
- 「通勤10分を20日」の約200分は、筆者の計算です(10分×20日。たとえばの仮の数字)。
確認日:2026年10月23日
この記事は学習用の情報で、投資の勧誘や助言ではありません。投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。