この授業では、築古物件を買う前に見る点がわかります。新耐震基準が適用された1981年6月1日の線も、確認します。
朝のホームルーム|築古物件の境目は1981年
教室がぐらりと揺れた。実は、シーラカンス校長が、寝返りを打ったのだ。そのため、三岡新入生は、机の下に消えた。
「震度1です」と村野教頭が出席簿をめくる。「しかも、校長の寝返りは、いつもこの程度です」
机の下から、物件チラシが出てくる。「築45年で、利回りが高いんです。でも、『新耐震 1981年 築古』で調べたら、1981年が境目だって」ぷくっ(ふくらみ1回)。
築45年は、2026年から数えて1981年ごろの建物です。この境目を知っているかどうかで、築古物件を見る目は変わります。
築古物件の境目は
1981年6月1日
旧耐震
1境目の年表
2旧耐震と新耐震
3築古物件を見る5歩
4売主・仲介会社に聞く3つ
- 建築確認の日付が分かる書類
- 耐震診断をしたか、その結果
- 耐震改修をした履歴
5新耐震の目標(震度)
授業:新耐震と築古物件
村野教頭が、黒板の端に年号を書いた。「まず、要点は3つです」
要点1 築古物件の線は1981年6月1日、見るのは建築確認
新耐震基準は、1981年(昭和56年)6月から適用されています。国土交通省の資料(2005年12月)には「新耐震基準の適用(昭和56年6月1日)以前に建築確認を受けている場合」という書き方があります。なお、建築確認は、建てる前に、設計が基準に合うかを確かめる手続きです。
一方、国の別の資料は、1981年5月以前に着工された住宅を対象としています。そのため、言い方が違うので、物件ごとの日付は、売主や仲介会社に書類で見せてもらいましょう。また、完成した日とは、ずれることがあります。
要点2 新耐震は「目標」、旧耐震は「注意」
新耐震基準は、中規模の地震(震度5強程度)ではほとんど被害を生じず、極めてまれな大規模の地震(震度6強から7程度)でも、人命に危害を及ぼすような倒壊を生じないことを目標にしています。ただし、目標であって、保証ではありません。
一方、国土交通省は、1981年以前の建物に耐震性が不十分なものが多く存在する、としています。阪神・淡路大震災の建物被害は、昭和56年以前に建てられたものに集中しました。さらに、熊本地震でも、昭和56年5月以前の木造住宅で大きな被害が見られたと、国は説明しています。

図の左が旧耐震、右が新耐震です。ただし、どちらも「かんたんに安全」とは言い切れず、個別の建物は診断で確かめます。
アイビー先生が割烹着の紐を結び直した。「築古物件が悪いとは言っておらん。だから、診断してから決めるのじゃ。空室までは掃除できんがの。ご飯は食べなさい」
「じゃあ築古は、やめたほうが……」三岡がまたふくらむ(ふくらみ2回)。「しかし、やめろとは言っていません」と村野教頭。
要点3 築古物件の旧耐震は「診断」と「支援」を調べる
耐震診断は、大規模な地震に対してどの程度の安全性があるかを判定するものです。耐震改修工事は、基礎や壁の補強などをして、建物を倒れにくくする工事です。そして、国は、まず診断をして、不十分なら改修や建替えを検討するよう呼びかけています。
「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」と三岡。村野教頭は首を横に振った。「つまり、月払いではなく、診断も工事も、その都度の費用です」
ただ、費用はかかりますが、国と地方公共団体が支援制度を用意しています。国の補助、耐震改修税制(住宅)、住宅金融支援機構の融資などが紹介されています。なお、内容は自治体で違うので、物件のある市区町村の窓口で確認しましょう。
特に、注意が1つあります。国土交通省は、個別の住宅の診断や改修を直接は行っていません。「国の依頼で診断に来た」と言われたら、先に自治体の窓口に相談してください。
村野教頭が声をひそめた。「うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい」

図の順に進めると、築古物件の「安さ」に診断や補強の費用が隠れていないか、見えてきます。つまり、診断費や補強費は、物件価格や利回りの計算に入れて比べます。なお、判断は建築士などの専門家にも確認しましょう。

売主や仲介会社に聞くことは、図の3つです。そして、答えが書類で出てくるかを見てください。
小テスト|築古物件の確認
問題。築古物件を見に行く前に、まず確かめたいことはどれ?
- A 築年数が「古い」ので、迷わず対象から外す
- B 築年数が「新しい」ので、診断は不要と考える
- C 建築確認の日付が1981年6月1日より前か後かを、書類で確かめる
答えはCです。つまり、築年数だけでは分かりません。日付を確かめ、前なら耐震診断の有無を聞きます。
今日の宿題|築古物件の支援を調べる
お住まいの市区町村名と「耐震診断 補助」で検索し、窓口のページをブックマークしてみましょう。見るだけでも合格です。しかも、金額は覚えなくて大丈夫です。
校長のひとこと
授業のあいだ、校長は寝返りを3回打った。最後に目を開ける。「……わしのうろこは4億年もった。しかし、建物は日付と診断が大事じゃ。ぐう」
放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「へい、らっしゃい!今日のパンは、ただいま仕入れ中でやんす。そのため、準備中ですので、もうしばらくお待ちを」
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次回予告
次の教室はピカピカ発電所科です。デンキウナギのムコブカ主任が、電気を貯めるしくみを教えます。しかも、教室の電気が、ときどきちかちかします。
出典と確認日
- 国土交通省「マンションの耐震性等についてのQ&A」(平成17年12月8日):https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071208_2_.html
- 国土交通省「住宅・建築物の耐震化について」:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr_000043.html
- 国土交通省「住宅の耐震診断・耐震改修推進のための戸別訪問マニュアル(案)Q&A集」:https://www.skr.mlit.go.jp/kensei/sumaizukuri/06sumainoanzen/03qa.pdf
- 国土交通省「住まいの耐震化」:https://taishin-kaishu.mlit.go.jp/earthquake/
- 確認日:2026年10月25日
この記事は学習用の情報で、契約や投資の勧誘や助言ではありません。契約や投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
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