今日は野立ての認定失効について学びます。運転開始の期限と、着工申込みの有無での違いがわかります。
朝のホームルーム|野立ての認定失効とは
ぺたり。三岡新入生の背中に、チラシが1枚貼りついたまま、教室に入ってきました。「空き地で太陽光、将来の備えに」と書いてあります。
「主任、これ『野立て』って書いてあります。野に立てる……? ぷくっ(ふくらみ1回)」
すると、村野教頭が背中のチラシをはがし、出席をとります。「三岡さん、出席。今日の検索語は『野立ての認定失効』です」

まず、売電には、国の「認定」が要ります。しかも、認定には期限があり、過ぎると消えることがあります。これが野立ての認定失効です。たとえば大きなお金を出したあとで「認定が消えていた」と知ったら、笑えません。
野立ての認定失効
運転開始の期限がカギ
場合
1期限の数字
2期限の落とし穴
3着工申込みの有無で変わる
- 期限に猶予が加わる
- 加えた期限で失効が決まる
- 申込み時に土地の権利が必要
- 運転開始期限を過ぎる
- 期限の1年後に認定が失効
- 延長の措置はない
4買う前の5チェック
- 認定の運転開始期限はいつか
- 土地を使う権利はあるか
- 農地・林地の許可は要るか
- 廃棄費用の積立はどうなるか
- 標識・柵塀を置けるか
授業:野立ての認定失効
村野教頭「野立ては、屋根ではなく、地面に架台を置いてパネルを並べる設置方法です。要点は3つ。私が教えます」
要点1 野立ての認定失効は、運転開始の期限がカギ
そもそも、太陽光の売電は、国の固定価格買取制度(FIT・FIP)の認定を受けて行います。そして、資源エネルギー庁の資料には、一定の期限までに運転開始に向けた一定の進捗が見られない案件の認定を失効させる制度が説明されています(2026年10月25日確認)。
たとえ話は、校庭の使用許可札です。つまり、札には期限があります。そのため、期限までに使い始めないと、札が自動で消えます。
具体的には、10kW以上の太陽光の運転開始期間は、3年間(環境アセスの対象案件は+2年)と示されています(2021年9月の資料)。10kW未満は期限が異なります。一方、系統連系工事の着工申込み(送電線につなぐ工事の申込み)をしていない案件は、運転開始期限の1年後に認定が失効します。反対に、申込みをした案件には、猶予が加わります。流れは下の図です。

ムコブカ主任「放電は得意、貯めるのは苦手。安全確認、ヨシ! ……いや、期限確認が先だな」

また、着工申込みの時点で、設置場所を使う権利の確保が必要です。さらに、農地や林地の許可は、必要な場合に求められます。野立ては、土地の話が先です。
なお、2026年2月の国の意見書では、いま支援の対象になっている事業用の地面設置の太陽光は、2027年度以降、FIT・FIPの支援の対象外とすることが示されました。具体的にいつの認定から対象外になるかは、最新の国の発表を確認してください。
要点2 野立ての認定失効、期限は延ばせない。失効の通知もない
次に、資源エネルギー庁のよくある質問には、運転開始期限に延長の措置は設けられていない、と書かれています。事業者の責めによらない事由で遅れても、国または電力会社が補償することはありません。そのうえ、認定が失効した場合、通知はいたしません、ともあります(申請サイトのマイページでステータスを確認できる区分もあります)。
三岡「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」

教頭「まず、お金の前に、期限の話です。うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい。着工申込みの有無で分かれます」

売電の収益の見方や、太陽光ならではのリスクは、別の解説記事でも詳しく書かれています。
太陽光投資では、発電量が天候や季節に左右され、出力抑制や災害、設備の劣化もリスクとして挙げられています。
参考:太陽光投資の収益の仕組みとリスクの整理
要点3 発電が始まっても、続くお金と手間がある
最後に、廃棄費用の積立ても大切です。資源エネルギー庁の資料では、対象は10kW以上のすべての太陽光のFIT・FIP認定事業です。また、積立ては、原則として源泉徴収的な外部積立てで、天引きに近い形で進みます。なお、最も早い事業の積立て開始時期は、2022年7月1日と示されています。
ただし、積立ての方法や金額にかかわらず、最終的に排出者が廃棄処理の責任を負うことが大前提です。ほかにも、設置には標識・柵塀等も必要です。
では、買う前の確認は、下の図のとおりです。

ちなみに、稼働中の案件を買う話は、別の解説記事にもあります。
稼働中の太陽光を売るか持つかの判断では、残りのFIT期間や設備の更新時期、市場の動向を確認するところから始める、とされています。
参考:FIT太陽光の売却を考えるときの判断軸
なお、契約書や税金は、弁護士や税理士などの専門家に確認してください。
小テスト|野立ての認定失効クイズ
問題:野立ての認定失効の話です。運転開始の期限に間に合いそうにありません。正しいのはどれでしょう。
- A 事業者に落ち度がなければ、国が遅れた分を補償してくれる
- B 運転開始期限は、延長が認められない
- C 失効の前に、国から通知が届く
答えはBです。つまり、延長の措置はなく、遅れの補償も、失効の通知もありません。
今日の宿題
野立ての認定失効を確かめるため、資源エネルギー庁の「よくある質問」(FIT・FIP制度)を開き、「運転開始期限」の文字を探してください。そして、見つけたら、前後を1分だけ読みます。
校長のひとこと
シーラカンス校長は、土地の話のあたりから寝ています。……ぐう。
やがて、鐘で目を開けます。「土地は動かん。期限は動く。わしは4億年、売ったことがない」。ぐう。
蓄電池・太陽光の事業化について、事業者に相談したい方はこちらです。(外部サイトへ移動します)
相談窓口へ進む
放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「いらっしゃい!今日のパンは焼き上げ中でやんす。準備中なので、ちょっと待っておくんなさい」
教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。
次回予告
次回は、サロン見極め科です。ニッコリ先生が、入る前に確かめたいことを話します。教室はこちらです。
一次情報は資源エネルギー庁「認定失効制度について」2021年9月でも確認できます。一次情報は資源エネルギー庁「よくある質問|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー」でも確認できます。
合わせて読みたい
出典と確認日
- 資源エネルギー庁「認定失効制度について」2022年11月:https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/046_01_00.pdf
- 資源エネルギー庁「認定失効制度について」2021年9月:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fip_2020/fip_document04.pdf
- 資源エネルギー庁「よくある質問|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー」:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_faq.html
- 資源エネルギー庁「太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度について」2021年9月:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fip_2020/fip_document03.pdf
- 確認日:2026年10月25日
この記事は学習用の情報で、契約や投資の勧誘や助言ではありません。契約や投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
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