今日はカーボンニュートラルとは何かを学びます。2050年の目標と、差し引きゼロの意味がわかります。
朝のホームルーム|カーボンニュートラルとは?
新聞を広げたまま、顔が隠れた三岡新入生が入ってきました。しかも、読んでいるのは「2050」の文字だけです。
「主任、カーボンニュートラルとは、二酸化炭素を一切出さないことですか? そんなの、息もできません。ぷくっ(ふくらみ1回)」
すると、村野教頭が新聞をそっと下ろして、出席をとります。「三岡さん、出席。今日の検索語は『カーボンニュートラルとは』です」

たとえば今22歳なら、2050年は46歳。つまり、住む家も、乗る車も、電気代も、この話につながっています。他人ごとではありません。
カーボンニュートラルとは
出さないではなく差し引きゼロ
目標
1差し引きゼロの考え方
2削減目標(2013年度比・%)
2030年度は「46%削減、さらに50%の高みに向けて挑戦」。2050年のネット・ゼロに向けた目標です。
3宣言から2050年まで
4正しい理解
- 排出−吸収・除去でゼロ
- まず出す量を減らす
- 1グラムも出さないこと
- 2030年度に実質ゼロ
授業:カーボンニュートラルとは?2050年の目標
村野教頭「では、要点は3つです。ムコブカ主任も、お手柔らかに」

要点1 カーボンニュートラルとは「出さない」ではなく「差し引きゼロ」
まず、資源エネルギー庁は、カーボンニュートラルを「排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする」ことと説明しています(2026年10月25日確認)。また、環境省も、ネット・ゼロを、排出される量と吸収・固定される量の差し引きがゼロになることと書いています。
カーボンニュートラルとは、たとえ話で言えば校舎の水槽です。たとえば、蛇口から注ぐ水が「排出」、ポンプで抜く水が「吸収・除去」。同じ量なら、水位は変わりません。さらに、蛇口を開けたままでも、同じ量を抜けば、水位は変わりません。つまり、これがニュートラルです。

ムコブカ主任「放電は得意、貯めるのは苦手。安全確認、ヨシ! ……ゼロにする前に、まず出す量を減らす。そこからだ」。バチッ。三岡がぷくっ(ふくらみ2回)。
要点2 カーボンニュートラルとは、誰が、いつ決めたのか
最初に、2020年10月、菅総理が臨時国会の所信表明演説で、2050年カーボンニュートラルを宣言しました。「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と述べています。
環境省の説明では、2050年までのカーボンニュートラルの実現は、法律にも明記されました。さらに2025年2月18日、日本は新しいNDC(国が決定する貢献。国連に出す削減目標)を国連気候変動枠組条約事務局へ提出しました。

三岡「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」

教頭「お金ではなく、年度の話です。うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい。特に、「ゼロ」の一言だけで済ませる話には、中身の確認ですね」
要点3 道すじは「年度ごとの数字」で示される
次に、環境省のNDCのページには、2035年度と2040年度に、温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%、73%削減することを目指す、とあります。つまり、2050年ネット・ゼロに向けた直線的な経路にある目標、という位置づけです。
2030年度の目標は、環境省の白書で「46%削減、さらに50%の高みに向けて挑戦を続ける」と書かれています。そこで、数字をまとめると、下の図のとおりです。

また、環境省は、電源などの脱炭素化だけでなく、ライフスタイルの転換など、みなさんの協力も必要不可欠としています。つまり、暮らしの中の選び方も、道すじの一部です。
再エネを増やす話では、天気で出力が変わる問題もあります。なお、この点は、別の解説記事でも詳しく書かれています。
太陽光は日射量で、風力は風の強さで出力が変わります。余った電気をためて別の時間に使う蓄電池が、需給のバランスに活用されます。
参考:系統用蓄電池と再生可能エネルギーの関係
小テスト|カーボンニュートラルとはの確認
問題:カーボンニュートラルとは何か、その説明として、正しいものはどれでしょう。
- A 温室効果ガスを、1グラムも出さないこと
- B 排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計を、ゼロにすること
- C 2030年度に、実質ゼロを達成すること
答えはBです。なぜなら、Cは、2030年度の目標が46%削減で、実質ゼロは2050年の目標だからです。
今日の宿題
環境省の「日本のNDC」のページを開いて、「60」と「73」の数字を探してください。そして、見つけたら、2035年と2040年に自分が何歳になるかを数えてみます。
校長のひとこと
シーラカンス校長は、「2050年」と聞いて、うとうとしていました。なにしろ、4億年からみれば、きのうの話です。……ぐう。
やがて、鐘で目を開けます。「ゼロは、ひとりで作れん。水槽のみんなで、少しずつじゃ」。ぐう。
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放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「へい、いらっしゃい!今日のパンは入荷待ちでやんす。準備中なんで、もうちょい待ってくだせえ」
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次回予告
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カーボンニュートラルと蓄電池については、ENERGY BANKの長期脱炭素オークションと蓄電池でも解説しています。事業者向けの実務は、zeusの長期脱炭素オークションも参考になります。ウハウハ高等学校の系統用蓄電池とはもあわせてどうぞ。
一次情報は資源エネルギー庁 エネこれ「「カーボンニュートラル」って何ですか?でも確認できます。一次情報は環境省「日本のNDCでも確認できます。一次情報は環境省「ネット・ゼロ」でも確認できます。
合わせて読みたい
出典と確認日
- 資源エネルギー庁 エネこれ「「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)」:https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/carbon_neutral_01.html
- 環境省「日本のNDC(国が決定する貢献)」:https://www.env.go.jp/earth/earth/ondanka/ndc.html
- 環境省「ネット・ゼロ」(ecojin):https://www.env.go.jp/guide/info/ecojin/eye/20250312.html
- 環境省「地球温暖化対策推進法と地球温暖化対策計画」:https://www.env.go.jp/earth/ondanka/domestic.html
- 環境省 環境・循環型社会・生物多様性白書(2025年版)第1部第1章第2節:https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r07/html/hj25010102.html
- 確認日:2026年10月25日
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