朝のホームルーム
キーンコーンカーンコーン。三岡新入生が、購買部の前で手帳をにぎりしめています。「マネッコ先輩、僕の手作りパン、毎日同じ値段で買ってもらえませんか?」
村野教頭が割って入ります。「ちょうどいい題材です。今日は、再エネの電気の売り方、FITとFIPの違いです」
ヘルメットのムコブカ主任が、指差呼称。「放電は得意、貯めるのは苦手。安全確認、ヨシ!」
実は、毎月の電気代には、この仕組みを支えるお金が含まれています。自分の財布にも関係する話です。分かると、電気の明細が少し違って見えます。
授業:FITとFIPの違い
教頭が黒板に購買部の絵を描きます。「たとえ話です。生徒がパン(電気)をつくります。FITは、決まった値段で買ってもらう約束。FIPは、校庭のバザー(市場)で売れた値段に、おまけを足す仕組みです」

要点1:FITは「決まった値段で買う」約束
固定価格買取制度(FIT)は、再エネで発電した電気を、電力会社が一定の価格で一定の期間買い取ると、国が約束する制度です。2012年に始まり、再エネを急速に広げました。
買取の費用は、賦課金として電気料金に上乗せされています(資源エネルギー庁、2026年10月23日確認)。発電する時間帯に関係なく同じ値段で買われるため、電気が足りない時間か余る時間かを、発電する側が気にしなくてよい仕組みでした。
FITの買取期間は20年のものがあります。終わったあとの考え方は、別の解説記事でも整理されています。
FIT太陽光は調達期間20年で、満了後は卒FITに移ります。残りの期間や設備の更新時期をもとに、保有か売却かを考える軸を整理しています。
参考:FIT太陽光の保有と売却を考える判断軸の解説
要点2:FIPは「市場の値段+プレミアム」
FIP(Feed-in Premium)制度は、発電事業者が卸市場などで電気を売った値段に、プレミアム(補助額)を上乗せして受け取る制度です。2022年4月に始まりました。事業者の収入は「売った値段+プレミアム」です。
プレミアムは、基準価格から参照価格を引いた差です。基準価格は、再エネが効率よく供給されるときの必要費用の見込みなどから決まります。参照価格は市場の価格に連動し、1か月ごとに見直されます(資源エネルギー庁の解説、2021年8月3日公開)。

図の数字は、たとえばの仮の数字です。参照価格が下がればプレミアムは増え、上がれば減ります。三岡「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」教頭「毎月変わるので、いくらからとは言えません」
市場の値段が高い時間に売れば、収益を伸ばせる、と同じ解説にあります。そのぶん、発電量の計画と実績がずれたときの費用負担もあります。FITでは免除されていた部分で、プレミアムの一部として手当てされます。三岡は、ぷくっ(ふくらみ1回)。
FITとFIPの違いは、この記事でも整理されています。
FITは再エネの電気を一定価格で一定期間買い取る制度、FIPは市場などでの売電収入にプレミアムを加える制度。FIPは売電収入全体が固定単価になるわけではない、と説明しています。
参考:太陽光投資と蓄電池投資の収益源・運用・土地条件の違い
要点3:制度は変わる。最新の線引きは公式で
制度は、年度ごとに見直されます。資源エネルギー庁の表(2026年4月現在)では、事業用太陽光(地上設置・10kW以上)は、2026年度の落札案件を除き、2027年度以降はFITとFIPの新規認定の対象になりません。すでに認定を受けた案件のFIP移行は認められます。
10kW以上50kW未満の太陽光には、自家消費型の地域活用要件があります。入札制度は250kW以上が対象で、屋根設置は対象外です。

図は、制度の歩みです。2012年にFITが、2022年4月にFIPが始まりました。主任「制度の確認も、点検と同じ。毎回、現場で。ヨシ!」教頭「うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい」。売電の話を聞いたら、FITかFIPか、いつ認定された設備かを、まず聞いてください。税金や契約の判断は、専門家にも確認してください。
蓄電池・太陽光の事業化について、事業者に相談したい方はこちらです。(外部サイトへ移動します)
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小テスト
問題:FIPで、事業者の収入になるのはどれ?
- A 市場で売った値段にプレミアムを足したもの
- B 固定価格だけ
- C プレミアムだけ
答えはAです。市場で売った値段が土台で、そこにプレミアムが乗ります。
今日の宿題
資源エネルギー庁のFIP制度の解説記事を開き、「基準価格」「参照価格」「プレミアム」の3語を探して、一言ずつ自分の言葉でメモしてください。5分で終わります。
校長のひとこと
ここまでぐっすり寝ていたシーラカンス校長が、そっと目を開けました。「……わしは4億年、売ったことがない。じゃが、売り方を知るのは、悪くないのう」
また寝ました。
放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「へい、らっしゃい!今日のパンは、固定価格でも市場価格でも仕入れ中。準備中ですので、少々お待ちを」
教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。
次回予告
次回はサロン見極め科です。ニッコリ先生の号令で、月額の「うまい話」を見極める授業が始まります。三岡は早くも気をつけの姿勢です。
出典と確認日
- 資源エネルギー庁「なっとく!再生可能エネルギー」制度の概要:固定価格買取制度(FIT・FIP制度)
- 資源エネルギー庁「エネこれ」(2021年8月3日公開):「FIP制度」が2022年4月スタート
- 資源エネルギー庁「買取価格・期間等」(2026年4月現在):買取価格・期間等
- 確認日:2026年10月23日
この記事は学習用の情報で、契約や投資の勧誘や助言ではありません。契約や投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。