朝のホームルーム
2026年11月4日の朝、三岡新入生は蓄電池の市場のメモを持って、ピカピカ発電所科の教室に入りました。「先生、系統用蓄電池の市場は、3つあるとあります。同じ蓄電池なのに、市場が違うと何が変わるのですか」。

村野教頭は出席を取りながら言いました。「比べるときは、役割と、支払いの形を分けることが入口です」。これは家庭用ではなく、系統用(電力の大きな網につながる、法人・事業者向け)の蓄電池の話です。

系統用蓄電池は市場3つで比べる
役割と支払いの形で読む
複数市場で活用
1話題に出た数字
2支払いの形を分ける
- 容量市場は将来の供給力
- 役割が違うと支払いも違う
3比べる順番3つ
授業:系統用蓄電池の市場3つを役割と支払いで比べる
要点1 関電グループのマルチユースと、JEPXスポットの値差
村野教頭は、要点を3つに分けて教えました。まず全体の動きです。2026年10月26日の電気新聞では、関西電力グループが太陽光併設蓄電池を複数の電力市場で活用するマルチユース運用を開始したと伝えられました。マルチユースは、1つの蓄電池を、複数の市場で使い分ける運用のことです。1つ目の市場は、JEPXスポット(日本卸電力取引所の、その時間ごとに電気を売買する市場)です。ここでは、電気そのものの値差が支払いのもとになります。安い時間にためて、高い時間に放すという値差の仕組みです。三岡はぷくっ(ふくらみ1回)とふくらみました。「ひぇっ、それ、月いくらからですか? 値差があると、どうして支払いになるのですか」。教頭は言いました。「うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい。値差は仕組みの説明で、収入の約束ではありません。価格は時間ごとに動くものとして読みます」。
要点2 需給調整市場は、調整力への対価です
2つ目は、需給調整市場(需要と供給のバランスを整える力を買う市場)です。ここで買われるのは、調整力(電気の流れのずれを直す力)です。電気そのものの値差ではなく、調整できる力を出せることへの支払いの形になります。系統用蓄電池の市場を比べるときは、電気を売ったのか、調整力を出したのかで分けて記録します。役割が違うと、支払いの理由も違います。ムコブカ主任はヘルメット姿で言いました。「放電は得意、貯めるのは苦手。安全確認、ヨシ!」。ためる力と、放す力を、別々に確かめることが大事です。
たとえ話を1つだけします。運動会の係分担で、走る係と、合図を出す係と、会場の席を押さえる係が別々なのと似ています。係が違うと、評価のされ方も違います。市場も、役割が違うと、支払いの形が違います。
要点3 容量市場は、将来の供給力への対価です
3つ目は、容量市場(将来の供給力を買う市場)です。ここでは、将来に電気を出せる力を用意することへの支払いが、仕組みのもとになります。2026年10月22日のBESS NEWSでは、容量市場検討会第77回で、発動指令電源(指令を受けて電気を出す電源)の充当措置案が出たと伝えられました。案では、発動指令電源をメインオークションのエリアプライスで契約する形が示され、参加条件は1,000kW超、2028年度からと伝えられました。案の段階と、決まった制度は分けて読みます。三岡はまたぷくっ(ふくらみ2回)とふくらみました。「2028年度からなのですね。数字と時期を分けて書くのですね」。
法人の系統用蓄電池投資の記事でも紹介しましたが、容量市場と長期脱炭素電源オークションは、収支計画で確かめる項目として並べて読むものです。
参考:法人の系統用蓄電池投資 容量市場と長期脱炭素電源オークションを収支計画で確認
教頭が最後に言いました。「市場は、役割と支払いの2点で比べる」。比べ方に迷うときは、公式の案内を持って専門家や相談窓口に確かめるのが順番です。
小テスト
問題:系統用蓄電池の市場の読み方として合うものはどれでしょう。A:スポットは電気の値差、需給調整は調整力、容量は将来の供給力への対価で分ける。B:3つの市場は、どれも同じ支払いの形で比べる。C:家庭用の蓄電池の話として、同じように読む。
答えはAです。市場ごとに、役割と支払いの形が違います。
今日の宿題
系統用蓄電池の3つの市場の名前を、役割と一緒に3行でメモしてください。5分でできます。
校長のひとこと
授業の間、眠っていたシーラカンス校長が目を開けました。「蓄えるだけでは、市場の役目は見えんものじゃ」。そう言って、また眠りました。

蓄電池が活躍する3つの市場については、ENERGY BANKのJEPXの価格差と蓄電池の収益でも解説しています。事業者向けの実務は、zeusの蓄電池の収益の仕組みも参考になります。ウハウハ高等学校の系統用蓄電池とはもあわせてどうぞ。
電力や蓄電池に関する国の制度・統計は、資源エネルギー庁が公表しています。系統接続や需給に関する情報は、電力広域的運営推進機関が公表しています。世界のエネルギーに関する公式データは、国際エネルギー機関(IEA)が公表しています。
合わせて読みたい
法人の系統用蓄電池投資 容量市場と長期脱炭素電源オークションを収支計画で確認では、容量市場の仕組みを、事業の計画で読む視点で整理しています。市場を比べるときの参考になります。
参考:法人の系統用蓄電池投資 容量市場と長期脱炭素電源オークションを収支計画で確認
出典と確認日
- 出典:電気新聞
- 出典:BESS NEWS
- 確認日:2026年11月4日
この記事は学習用の情報で、契約や投資の勧誘や助言ではありません。契約や投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
系統用蓄電池の話題を扱う毎日のコラムは、メールマガジンでもお届けしています。登録の案内はサイト内にあります。
この学科の記事を読む順に並べたページは、ピカピカ発電所科のまとめ|記事の一覧と読む順番です。
この記事が気に入ったら、シェアしてください
関連サイト
- コミッターズ:営業と販路開拓の実務コラム
- 令和の総合商社:あらゆる商いを、ひとつの窓口から
- SAMURAI TIMES:経営者のための士業情報メディア
- ニコニコデスク:仕事と暮らしの実務メディア
- 今日一日:心と生き方を整えるメディア
- HYPE:クリエイターのためのメディア
- 源氏小町:美容と健康のメディア
- Antithesis:常識を疑うメディア
- BUTSU×2:スキルと物の物々交換
- みんなの企業新聞:経営者の出会いと販路づくりの新聞
- ENERGY BANK:系統用蓄電池の専門メディア
- はてなブログ(ウハウハ高等学校|投資の教室):投資の教室
- アメブロ(令和の総合商社):令和の総合商社のアメブロ
- note(コミッターズ):コミッターズのnote
