朝のホームルーム|太陽光併設蓄電池のニュース
三岡新入生が、ぶかぶかのブレザーのポケットからモバイルバッテリーを取り出しました。スマホは、昼休みの前に電池切れです。
「先生、『太陽光 蓄電池 マルチユース』ってニュースが出ていました。電池を何回も使う、ってことですか?」ぷくっ(ふくらみ1回)。
村野教頭が出席簿をひらきました。「三岡さん、出席。半分当たりです。このニュースを、太陽光の話と一緒にほどきます」

たとえば、モバイルバッテリーを1つ持っているだけで、電池切れの心配が減りますよね。発電所にも同じ発想があります。この授業は、2026年10月27日時点の情報をもとにしています。
太陽光+蓄電池の
マルチユースとは?
以降に運用
1マルチユースの流れ
23つの市場
3中国の太陽光(2026年)
4kWとkWhのちがい
授業:太陽光と蓄電池のマルチユースを読む
村野教頭が黒板に3つ書きました。「要点は3つです。出典は、資源エネルギー庁、関西電力の発表、電気新聞などの報道です」
要点1 太陽光は昼に余りやすく、蓄電池が受け止める
資源エネルギー庁は、蓄電池を「余った電気をためて、必要なときに放出する」ものと説明しています。太陽光などの出力制御(発電を抑える仕組み)を減らす効果が期待されています。
置き場所で3つに分かれます。電力系統全体の調整をする系統用、発電所の場でためる再エネ併設、ビルや工場の需要家側です。今回のニュースは、この「再エネ併設」、つまり太陽光とセットの蓄電池の話です。
ムコブカ主任がヘルメットを直しました。「放電は得意、貯めるのは苦手。安全確認、ヨシ! ……蓄電池は、その貯めるほうが専門です」
要点2 マルチユースは「1台を複数の市場で使う」こと
電気新聞は2026年10月26日、関西電力グループが太陽光併設の蓄電池を複数の電力市場で活用する、マルチユース運用を始めたと報じました。2027年度以降、複数のエリアで運用するとされています。
複数の市場とは何でしょう。関西電力グループが2026年3月25日に発表した別の蓄電所の事業では、E-Flow合同会社が、次の3つの市場で取引をする、と説明されています。
- 卸電力取引市場 電気そのものを売り買いする市場
- 需給調整市場 電気の需要と供給のずれを直す力を売り買いする市場
- 容量市場 将来の供給力に対して対価が支払われる市場
たとえば体育館を、昼は部活、夕方は地域のサークルに貸せば、1つの施設でも使い道が増えます。蓄電池のマルチユースも、同じ設備を時間帯や目的を分けて使う考え方です。
3つの市場のしくみは、別の解説記事でも詳しく書かれています。
系統用蓄電池の収益が、3つの市場のしくみからどう成り立つかを、投資家の目線で説明する解説です。
参考:系統用蓄電池の収益の仕組みとは|3つの市場を投資家目線で解説
「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」と三岡。ぷくっ、ぷくっ(ふくらみ2回)。教頭は首をふります。「家庭の電気代の話ではありません。発電や蓄電の事業者の話です」
要点3 中国の太陽光13億kWは、容量の話
もう1本のニュースは中国です。中国の国家能源局は、2026年8月末の太陽光の設備容量が約13億kWで、前の年の同じ時期より16.3%増えたと公表しました(2026年9月24日、中国メディアの報道)。9月1日には、7月末に太陽光の設備容量が石炭火力を初めて上回ったと報じられています。
ここで注意です。設備容量(kW)は、同時に出せる力の合計です。実際に作った電気の量(kWh)とは別のものです。同じ報道では、2026年1〜7月の太陽光の発電量は8,024億kWhで、全体の約8分の1、前の年より15.5%増とされています。
夜は太陽光が発電しませんから、容量がそのまま発電量になるわけではありません。ここが、蓄電池の出番につながります。この点は、太陽光投資と蓄電池投資を比べた解説でも触れられています。
太陽光発電投資と系統用蓄電池投資を、収益源・運用・土地条件の3つの面から比べる解説です。
参考:太陽光発電投資と系統用蓄電池投資の違い|収益源・運用・土地条件を比較
ニュースを見たら確かめる3つのこと
- 単位はkWか、kWhか。力の話なのか、電気の量の話なのか
- 蓄電池は、併設か、系統用か。どの市場で使うのか
- 書いてあるのは、発表された計画か、実際の運用の結果か
収益の見込みが書かれていても、運用の結果とは別物です。日付と主語(誰が、いつ、何をしたか)を確かめましょう。値動きや収益の予想は、この授業では書きません。
小テスト
問題 「マルチユース」の説明として、合っているのはどれでしょう。
- A 1台の蓄電池を、複数の市場や用途で使うこと
- B 蓄電池を3台まとめ買いすること
- C 太陽光パネルを屋根の複数の面に置くこと
答えはAです。電気新聞の報道でも、複数の電力市場で活用する運用がマルチユースと呼ばれています。
授業のあとの宿題
5分でできる宿題です。自宅の電気の明細を開き、「使用量」の欄にkWhが書いてあるか、探してみましょう。kWhが見つかれば、ニュースの単位が、ぐっと読みやすくなります。
校長のひとこと
シーラカンス校長は、市場の名前が出たあたりで寝息を立てていました。ふいに片目をあけて、一言。「……kWと、kWhは、別の魚じゃ。……ぐう」

事業者向けの実務は、zeusの太陽光と蓄電池の組み合わせも参考になります。
世界のエネルギーに関する公式データは、国際エネルギー機関(IEA)が公表しています。環境に関する国の公式情報は、環境省が公表しています。
合わせて読みたい
出典と確認日
- 電気新聞(関西電力グループの併設蓄電池のマルチユース運用)
- 関西電力(2026年3月25日の発表)/資源エネルギー庁(蓄電池の解説)
- 中国・国家能源局の統計の報道(中国メディア)
- 確認日:2026年10月27日
2026年10月27日時点の情報です。最新の情報は公式サイトで確認してください。この記事は学習用の情報で、契約や投資の勧誘や助言ではありません。契約や投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
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