副業の開業届は出すべき?いつ・どこへ・出すと何が変わるか

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朝のホームルーム

日曜の朝。校庭で、アベニーパファーの三岡新入生が、一枚の紙を握りしめて立っています。紙には「開業届」の三文字。そでが、風でぱたぱた鳴っています。

「教頭先生、副業を始めたら開業届を出したほうがいいって聞きました。出さないと、怒られますか? ひぇっ、それ、月いくらからですか? 売上が月いくらになったら出すんですか?」

村野教頭(エレファントノーズ)が、鼻で紙をそっと受け取りました。「怒る人はいませんよ。国税庁の案内に、金額の線は出てきません。書かれているのは『事業を始めたとき』です」

出すと、青色申告という特典の入口が開きます。今日は、いつ出すのか(タイミング)と、どこへ出すのかを覚えて帰りましょう。

授業:開業届は、いつ・どこへ・何が変わる

教頭「うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい。『開業届を出せば儲かる』という話があっても、届出と儲けは別の話です。要点は3つ。①開業届の出し方 ②出すと開く青色申告 ③出す前の注意。では、黒板をどうぞ」

要点1 開業届の出し方

開業届の正式な名前は、「個人事業の開業・廃業等届出書」です。新たに事業を始めたときに、税務署へ出します。

国税庁の案内(2026年10月23日確認)です。期限は、「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」です。出し先は、納税地(ふつうは住所のある場所)を所轄する税務署です。出し方は、e-Taxか、書面を持参または送付する方法です。「1か月以内」と書いてある古い案内もあるので、国税庁の現行ページで確認しましょう。

開業届の出し方3歩。開業届を書き、税務署へ出し、青色申告もするなら承認申請書も出す。

図のとおり、書いて、出して、青色申告もするなら承認申請書も、の3歩です。

三岡「期限が、ずいぶん先ですね!」 教頭は鼻をゆらして笑いました。「ええ。ですが、期限が遠い書類ほど、忘れます」 三岡は、そっとスマホにメモしました。

要点2 出すと開く青色申告

開業届と一緒によく出るのが、「青色申告承認申請書」です。青色申告とは、帳簿をきちんとつける代わりに、税金の計算で特典が使える申告のしかたです。2つの書類の違いを、図で見ましょう。

開業届は事業を始めたと知らせる書類で、期限は開業年の確定申告期限まで。青色申告承認申請書は青色申告をしたい人が出し、期限は原則3月15日、1月16日以後に開業した場合は2か月以内。

図のとおり、開業届は事業を始めたと知らせる書類です。承認申請書は、青色申告をしたい人が出す書類で、期限は原則として青色申告をしたい年の3月15日までです。1月16日以後に新たに事業を始めたときは、事業を始めた日から2か月以内です。

特典のひとつが、青色申告特別控除です。税金のもとになる所得から、決まった額を引ける仕組みで、控除額は65万円・55万円・10万円の3段階です。

青色申告特別控除の3段階。65万円は55万円の条件に加えて電子申告か電子帳簿保存、55万円は複式簿記で記帳し決算書を添付、10万円はそのどちらにも当てはまらない青色申告者。

図のとおり、55万円は、複式簿記で記帳して決算書をつけることが条件です。65万円は、それに加えて、e-Taxで申告するか、電子帳簿保存をするか、のどちらかです。10万円は、そのどちらにも当てはまらない青色申告者です。55万円と65万円の対象になる所得は、事業所得と不動産所得です。

電子帳簿保存で65万円を受けるには、優良な電子帳簿の要件を満たして保存し、届出書を期限までに出す必要があります。詳しくは国税庁のNo.2072で確認してください。

天楽先生(テッポウウオ)が、水鉄砲で「65万円」の札を撃ちぬきました。「やったるでぇ。銘柄は選ばんがの」 教頭「先生、控除の額は選べません。条件で決まります」 先生は水しぶきをあびて、バタバタと席にもどりました。

要点3 出す前の3つの注意

1つ目。届出を出せば事業所得になる、とは書かれていません。国税庁の通達は、事業所得かどうかを、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定するとしています。

2つ目。取引を記録した帳簿書類の保存がない場合は、原則として業務に係る雑所得になります。ただし、収入が300万円を超え、事業所得と認められる事実がある場合は除きます。青色申告でも、帳簿は欠かせません。

三岡「ひぇ……帳簿」 ぷくっ(ふくらみ1回)。教頭「毎日1行で、かまいません」

この点は、別の解説記事でも詳しく書かれています。

経費は、その年に支払いの義務が確定した金額が基準です。仕事と私生活が混ざる費用は、業務で使った部分を区分できる金額だけが対象です。
参考:個人事業主の経費の考え方を質問と答えで整理

3つ目。会社の副業のルールが先です。許可制や届出制の会社もあります。税務署への届出は、会社への手続きの代わりにはなりません。

あわせて、個人で商いを始める手順をひと通り知りたい人には、こちらの記事があります。

個人で商いを始める手順を、開業届や青色申告承認申請書の出し先まで、順に整理した解説です。
参考:個人で商いを始める手順は?開業届から最初の売上まで

20万円ルールの話は、別の授業で扱いました。開業届は「申告が要るか」を決める書類ではなく、「事業を始めた」と知らせる書類です。税金の判断に迷うときは、税務署や税理士に確認してください。

小テスト

1月16日以後に副業の事業を始めた人が、青色申告をしたいとき、青色申告承認申請書の期限は、次のどれでしょう。

  • A 事業を始めた日から2か月以内
  • B 来年の3月15日
  • C 出さなくてよい

答えはAです。1月16日以後に新たに事業を始めたときは、事業を始めた日から2か月以内です(国税庁)。

今日の宿題

国税庁のサイトで「開業届」と検索して、個人事業の開業・廃業等届出書の様式を開いてみましょう。書き込まなくて大丈夫です。どんな項目があるか、眺めるだけで合格です。

校長のひとこと

ずっと寝ていたシーラカンス校長が、そっと目をあけました。「……始めたら、まず知らせるのじゃ」 そう言って、また寝ました。

放課後・購買部

購買部のマネッコ先輩「へい、らっしゃい!今日のパンは、棚の奥から探し中でやんす。準備中ですので、ちょいとお待ちを」

教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。

次回予告

次の教室は、大家さん養成科です。割烹着のアイビー先生が、窓ガラスをぴかぴかに拭いて待っています。空室までは、拭けないそうです。

出典と確認日

  • 国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
  • 国税庁「No.2090 新たに事業を始めたときの届出など」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2090.htm
  • 国税庁「No.2072 青色申告特別控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
  • 国税庁「所得税基本通達 法第35条《雑所得》関係」 https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/04/09.htm
  • 確認日:2026年10月23日

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