朝のホームルーム|原油高ニュースの読み方
三岡新入生が、ぶかぶかのブレザーの袖から、スマホを2台のぞかせて教室に入ってきました。
三岡「見出しが2つあって、どっちも本物っぽいんです。『原油高で米株安』と『原油は反落』。同じ週のニュースですよね? どっちを信じたらいいんですか?」ぷくっ(ふくらみ1回)。
村野教頭「出席をとります。三岡さん、出席。スマホさん、2台とも出席」

原油高のニュースは、数字が大きくて、見出しも強めです。給料日前の財布には、気分が重くなる話かもしれません。でも、数字の「いつ」と「何の」を確かめるだけで、2つの見出しがどちらも正しいと分かることがあります。ニュースを見て「また下がるらしいよ」と人に話す前に、確かめる癖をつけましょう。
この授業では、2026年10月26日付の報道を使って、確かめ方を3つ練習します。順番は、下の図にまとめました。
原油高ニュースは3つ確かめる
ブレント116.72ドルの読み方
2026年10月
1同じ週の報道を時間順に並べる
2金曜の米株の下落率(%)
3ブレント原油の数字
4ニュースの数字を確かめる順番
5読み方のちがい
- 「〜と報じられた」と写す
- 日付と時刻を残す
- 見出しの数字を今の値段と思う
- 理由を1つに決めつける
授業:原油高ニュースの数字を3つ確かめる
黒板の前で、和大先生が後ろ向きに泳いでいます。「押忍!話題は全力で拾う、見通しはネガティブ全開! 後ろ向きだから、過去から先に読むぞ!」
村野教頭「その姿勢だけは、この場面では正解です。ニュースは、日付をさかのぼって読むのが基本ですから。要点は3つです」
確認1 いつの数字か
オーストラリアのABC Newsは、2026年10月26日(月)の朝に、金曜(23日)の米国市場の終値を伝えました。S&P500は0.5%下落、ダウ平均は1.2%下落、ナスダックは0.2%下落です。ブレント原油は3.1%上がって1バレル116.72ドルになり、原油高で物価への不安が広がって幅広く売られた、という説明でした。
同じ26日のうちに、ブレントは1.9%下がって114.47ドル(オーストラリア東部の午後4時15分ごろ)になったとも報じられました。つまり、「116ドルで米株安」は金曜の話、「114ドルへ反落」は月曜の話です。2つの見出しは、日付がちがうだけでした。
三岡「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」ぷくっ(ふくらみ2回)。村野教頭「月額の話ではありません。見るのは日付と時刻です。うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい」
見出しの横に、時刻と「何の終値か」があるかを探しましょう。なければ、記事の本文で探します。
確認2 何の価格か
「原油」と書いてあっても、価格の指標は1つではありません。ABC Newsが使ったのはブレント原油です。一方、FXStreetは26日の記事で、WTI原油が0.5%下がって102.90ドルになったと伝えました。ブレントとWTIは別の指標なので、数字が同じになるとは限りません。時刻も別なので、2つを引き算するのはやめておきます。
和大先生「後ろ向きで見ても、名前が違えば別人だ!」。ブレントとWTIの名札を、黒板に並べて貼りました。
確認3 理由は誰の説明か
金は金曜に1オンス4,000ドルを割り込み、7月以来になった、と報じられました。1週間では約4%の下落です。理由について、ANZのダニエル・ハインズ氏は、AI関連株から資金が動いたあと、金融引き締めの予想と金利の上昇があったと説明しました。ほかの分析者は、エネルギー高による物価不安や、株の投資家の追加担保(マージンコール)の影響も挙げたと、ABC Newsは伝えています。
理由は1つに決まっていません。そして、これは「誰かの説明」です。ニュースに「〜が原因」とあったら、「〜と報じられた」の形に直して手帳に写します。
さらに26日には、金は4,017ドル(オーストラリア東部の午後4時15分ごろ)まで戻ったと報じられました。金曜に割れた4,000ドルを、月曜にまた上回った形です。数字は1日の間にも動くので、見出しの数字を「今の値段」と思い込まないことが大切です。
ニュースを人に話せる形に読み直す方法は、別の解説記事でも詳しく書かれています。
新聞を「誰かに話す前提」で読むと、要点が頭に残りやすくなる、と3つのステップで整理した記事です。
参考:新聞の読み方を変える、誰かに話す前提で読む3ステップ
2026年10月26日からの週は、日本経済新聞によると、FOMC(米連邦公開市場委員会)が27〜28日、日銀の会合が29〜30日の予定です。FOMCの結果の読み方は、FOMCの結果ニュースの読み方の回でも扱いました。結果が出たら、同じ3つの確認を当てはめます。この授業では、値動きの予想はしません。
小テスト
2026年10月26日の朝に「ブレント原油116.72ドル」というニュースを見ました。最初に確かめるのは、どれでしょう。
- A その数字が、いつの終値か
- B この先も上がるかどうかを、自分で予想する
- C 同じ数字で、友だちに「また上がるらしい」と伝える
答えはAです。116.72ドルは金曜の終値で、月曜には114ドル台の数字も出ていました。日付が分かれば、古い数字と新しい数字を混ぜずに済みます。
宿題
5分でできます。気になる経済ニュースを1本選び、「いつの数字か」「何の価格か」「誰の説明か」を、手帳に1行ずつ書いてください。書けない欄は空欄のままにします。空欄が、そのニュースの弱いところです。
校長のひとこと
シーラカンス校長は、「金曜の終値」のあたりから寝ていました。ぱちり。
校長「……潮の流れを語るときは、時刻を書くものじゃ。わしは4億年、売ったことがない」。そして、また寝ました。

原油先物の価格は、取引所であるICEの公式サイトで確認できます。金や原油などの商品先物の公式値は、日本取引所グループ(JPX)でも公表されています。日本の金融政策の決定内容や物価の統計は、日本銀行が公式サイトで公表しています。
出典と確認日
- ABC News(豪):2026年10月26日の市場速報(米国市場の終値、ブレント原油、金の価格、理由の説明)
- FXStreet:2026年10月26日の金の記事(WTI原油の価格)
- 日本経済新聞:FOMCと日銀会合の週間予定(2026年10月25日付)
確認日:2026年10月27日
この記事は学習用の情報で、投資の勧誘や助言ではありません。投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
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