投資の古典名著TOP5|半世紀以上生き残った本だけ読む授業

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朝のホームルーム

キーンコーンカーンコーン。三岡新入生(アベニーパファー)の机に、ほこりをかぶった本が5冊、どさり。ホズミ先生の書庫から運ばれてきた、古い本です。

「先生、投資の古典の名著って、古すぎて読めないんじゃないですか」ぷくっ(ふくらみ1回)。

出席をとる村野教頭(エレファントノーズ)が、ほこりをふっと吹きました。「三岡くん、ほこりは消えても、考え方は残ります。古い本の多くは、図書館で借りれば0円です(蔵書しだいです)。今日は、その選び方を教えます」

授業:古典を選ぶ3つの物差し

白衣に丸メガネのホズミ先生(ポリプテルス)が、本の山を見て目を細めました。

「ふむ。積んだ本は、わしより古いのう。……と言いたいが、今日の5冊は、わしより若いかもしれん」

村野教頭が黒板に、校庭の大きな木を描きました。「たとえ話は、校庭の木です。長く立っている木は根が深く、風で倒れません。長く読まれた本は、考え方の根が深い。でも、枝ぶりは毎年変わります。数字や制度がそれです」

「つまり、古い本は考え方を学ぶ。数字は新しい資料で確かめる。これが今日の合言葉です」

古い本の読み方。考え方を拾い、数字と制度は新しい資料で確かめ、自分のルールに直す。

下の図のとおり、この合言葉は3ステップです。考え方を拾い、数字と制度は新しい資料で確かめ、自分のルールに直します。

制度の例は、NISA(少額投資非課税制度)です。古い本には載っていません。今のしくみは、別の解説記事でも詳しく書かれています。

NISAの2つの枠について、年間の投資枠、非課税の限度額、買える商品の違いを、金融庁の資料をもとに整理しています。
参考:つみたて投資枠と成長投資枠の違いを制度から整理

採点の物差しは3つです。ルールは下の図のとおりです。刊行からの年数は、原著の刊行年から2026年までで、100年以上なら5点、75〜99年は4点、60〜74年は3点。出し直しは、改訂版で注解つきなら5点、現代語訳・漫画化・シリーズ再刊は4点、確認できなければ3点。初心者向けの訳は、読みやすい現代語訳や漫画なら5点、平易な言葉や注解つきなら4点、確認できなければ3点です。

古典の採点ルール。刊行からの年数は100年以上で満点、出し直しは改訂版で注解つきなら満点、初心者向けの訳は読みやすい現代語訳や漫画なら満点。

採点は公開情報をもとにした学校内の独自評価で、実際に読んだ感想ではありません。見たのは、書店と出版社の公開ページの情報です。

原著の刊行から何年たったかは、次の図のとおりです。いちばん古いのは110年、いちばん新しくても68年です。

原著の刊行からの年数。論語と算盤110年、バビロン大富豪の教え100年、賢明なる投資家77年、大暴落1929が71年、株式投資で普通でない利益を得るが68年。

順位ボードがこちらです。1位と2位、4位と5位が同点なので、同点は初心者向けの点が高い方、それも同じなら刊行が古い方を上にしました。

古典名著の順位。1位現代語訳論語と算盤14点、2位漫画バビロン大富豪の教え14点、3位新賢明なる投資家13点、4位株式投資で普通でない利益を得る10点、5位大暴落1929が10点。

1位 『現代語訳 論語と算盤』

渋沢栄一著、守屋淳訳、筑摩書房(ちくま新書)、2010年2月刊、256ページ。合計14点です。

お金の稼ぎ方と使い方を、道徳と一緒に考えたい人向けです。原典は1916年に出た本が元で、筑摩書房は「一番読みやすい現代語訳」と紹介しています。出版社の紹介では、利益と道徳を両立させる考え方がテーマ。目次には「仁義と富貴」「算盤と権利」といった章があります。

「100年以上前の本? ひぇっ、それ、月いくらからですか?」と三岡。「月額ではありません。図書館なら0円です」と教頭。

2位 『漫画 バビロン大富豪の教え』

原作ジョージ・S・クレイソン、漫画坂野旭、企画脚本大橋弘祐、文響社、2019年10月刊。合計14点です。

活字が苦手な人向けです。原作は1926年に1冊の本になったとされ、出版社は「約100年もの間、世界中で読み継がれている」と紹介しています。内容は、お金儲けの技術ではなく、古代バビロニアに由来するとされる知恵の話。漫画なので、三岡の読み切りレコードを更新しそうです。

3位 『新 賢明なる投資家』

ベンジャミン・グレアム、ジェイソン・ツバイク著、パンローリング、上下2冊で、下巻は2005年4月刊・492ページ。合計13点です。

株や投資の古典を、腰を据えて読みたい人向けです。初版は1949年で、この版はグレアムの原文を残したまま、ツバイクが今の市況に合わせた注解を加えた改訂版です。下巻の目次には、「投資の中心的概念『安全域』」の章があります。

三岡は492ページに、ぷくっ(ふくらみ2回)。「上下巻ですから、読むのは上巻から。順番は大事です」と教頭。

4位 『株式投資で普通でない利益を得る』

フィリップ・A・フィッシャー著、パンローリング、電子書籍版は2016年8月発売。合計10点です。

企業の見方に関心がある人向けです。原著は1958年の刊行で、出版社は、平易な言葉で書かれていて専門知識がなくても読める、と紹介しています。内容紹介には「会社訪問をしたときにする質問」「株の売り時」などの項目が並びます。この記事は、特定の売買を勧めるものではありません。

5位 『大暴落1929』(日経BPクラシックス)

ジョン・K・ガルブレイス著、村井章子訳、日経BP、2022年11月刊。合計10点です。4位と同点ですが、初心者向けの点が1点低いので5位です。

バブルがはじけた歴史を知りたい人向けです。初版は1955年で、出版社は、バブル崩壊や株価暴落のあとに読まれてきた恐慌論の名著として紹介しています。教頭は低い声で言いました。「うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい。ブームの本ほど、冷静に」

なお、古い本の時代にも今にも、元本割れ(預けたお金が減ること)の可能性はあります。税金や契約の判断は、専門家や公式サイトで確かめてください。順位は学校内の物差しで、本のよしあしではありません。

小テスト

古い本を読むときの合言葉として、いちばん合っているのはどれでしょう。

A 数字も制度も、本のとおりにする
B 考え方を学び、数字や制度は新しい資料で確かめる
C 古いので、読まない

答えはBです。考え方は長持ちしますが、数字や制度は変わります。Cは、校庭の大きな木を見ずに帰るようなものです。

今日の宿題

家にある本を1冊選び、最後のほうの「奥付(おくづけ)」というページを開いてください。発行年や版が書かれています。ほんの数分で見つかります。初版の年を、メモしましょう。

校長のひとこと

書庫の奥の棚で寝ていたシーラカンス校長が、ゆっくり片目を開けました。

「……わしから見れば、どれも新刊じゃ」

また寝ました。

放課後・購買部

購買部のマネッコ先輩「へい、らっしゃい! 古書のパンは、いま蔵から出しているところでやんす。準備中ですので、ほこりが落ち着くまでお待ちを」

教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。

次回予告

ほこりまみれの三岡は、次に配当ハイギョの沼へ向かいます。待っている井松仙人は、古い話が大好きです。ほこりを払ってから、教室に入りましょう。

出典と確認日

確認日:2026年10月23日(電子書籍のページの発売年月を使った本があります。紙の本の刊行年とずれる場合があります)

この記事は学習用の情報で、投資の勧誘や助言ではありません。投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。