朝のホームルーム
キーンコーンカーンコーン。三岡新入生が、古びた1冊を抱えて教室に入ってきました。親戚のおばさんがくれた投資の本です。表紙の端が、少し日に焼けています。
「新しいNISAが始まる前の本なんです。もう読んでも意味ないですか? ぷくっ(ふくらみ1回)」
村野教頭が出席簿を開きます。「三岡くん、出席。今日の検索語は『投資 本 古い 読んでいい』ですね」
ここで一言。答えは「読んでいい。ただし、読む場所を分ける」です。古い本を丸ごと信じるのも、丸ごと捨てるのも、もったいない。その真ん中の道が、今日の授業です。
授業:古い投資本は「読む場所」を分ける
教頭が黒板に大きく書きました。「古い本は、生徒手帳と同じです。校則(制度)は年度ごとに変わります。でも校訓(考え方)は、そうそう変わりません。要点は3つです」
要点1:制度と数字は、古くなる
新しいNISAは、2024年1月に始まりました(金融庁、2026年10月23日確認)。それより前に出た本には、前の制度(一般NISAとつみたてNISA)の話が書いてあることが多いです。2023年末までに投資した分は、新しい制度の外側で、前の制度の非課税が続きます。新しい制度への乗りかえはできません。
いまの新NISAの数字は、下の図のとおりです。つみたて投資枠は年120万円、成長投資枠は年240万円。生涯の非課税保有限度額は1,800万円で、うち成長投資枠は1,200万円まで。非課税の期間は無期限です。

三岡「年120万円って、月にするといくらですか」。教頭「10万円です」。三岡「ひぇっ、それ、月いくらからですか? 月10万円は無理です!」ぷくっ、ぷくっ(ふくらみ2回)。教頭「枠は上限です。使い切る決まりではありません。無理のない額で大丈夫です」
この枠の違いは、別の解説記事でも詳しく書かれています。
つみたて投資枠は年120万円、成長投資枠は年240万円で、合計の非課税保有限度額は1,800万円、という制度の違いを整理しています。
参考:つみたて投資枠と成長投資枠の違いを制度から整理
税金の数字も、古い本では変わっていることがあります。NISAの外で株を売って利益が出たときの税率は、20%(所得税15%、住民税5%)です。これに復興特別所得税(所得税15%の2.1%、つまり0.315%分)が加わるので、合計は20.315%になります(国税庁、2026年10月23日確認)。ここは細かいので、最新の数字は国税庁の公式サイトで確認してください。
要点2:考え方は、長持ちする
金融庁は、新NISAのつみたて投資枠を「長期の積立・分散投資に適した」枠として位置づけています(2026年10月23日確認)。長く、少しずつ、分けて持つ。この考え方は、制度の名前が変わっても残っています。
だから、古い本でも「お金の使い道を決める」「家計を整える」「だまされないための心がまえ」といった章は、そのまま役に立つことが多いのです。下の図で、読む場所を分けてみましょう。

要点3:開いたら、3つ確かめる
ホズミ先生(ポリプテルス)が、丸メガネを光らせました。「ふむ。積んだ本は、わしより古いのう。じゃが、古さにも読める古さと、読めん古さがあるのじゃ」
確かめるのは3つ。奥付(本の最後にある、発行年が書かれたページ)で刊行年と版を見る。NISAの章が、新旧どちらの制度の話かを見る。数字は公式サイトで引き直す。

たとえば、アスコムの『はじめての人のための3000円投資生活』には、2016年に出た本と、2023年に出た『新NISA対応版』があります(アスコム公式ページ)。同じ書名でも、新NISAの仕組みが書かれているのは後者です。書店では、書名の後ろの「対応版」や「第◯版」の文字を探してください。税金や制度の個別の判断は、税理士や金融機関の窓口など専門家にも確認しましょう。
小テスト
新NISAが始まる前に出た投資本の、正しい読み方はどれでしょう。
A. 古いので全部捨てる B. 考え方は読み、制度や数字は公式サイトで引き直す C. 書いてある数字は今も同じだと信じる
答えはBです。考え方は長持ちし、制度や数字は変わるからです。AとCは、三岡が3回ふくらむ選択肢でした。
今日の宿題
手元か図書館の投資本を1冊選び、奥付を開いて発行年をメモしてください。本がない人は、通販サイトの「発売日」の欄でも大丈夫です。たった5分、お金はかかりません。
校長のひとこと
授業のあいだずっと寝ていたシーラカンス校長が、ゆっくり目を開けました。
「……校訓は4億年かわらん。校則は、毎年見直すんじゃぞ」
また寝ました。
放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「へい、らっしゃい!今日のパンは仕入れ中でやんす。まだ準備中でして、焼き上がりまで少々お待ちを」
教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。
次回予告
次回は、バンカラ姿の井松仙人が待つ配当ハイギョの沼へ。霞を食べながら、三岡の到着を待っているそうです。
出典と確認日
- 金融庁「新しいNISA」(2024年1月開始、年間投資枠、つみたて投資枠の位置づけ):https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html
- 金融庁「新しいNISAの概要」(非課税保有限度額、非課税期間、旧制度との関係):https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/summary.pdf
- 国税庁タックスアンサー No.1463「上場株式等に係る譲渡所得等の税率」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1463.htm
- アスコム『はじめての人のための3000円投資生活 新NISA対応版』:https://www.ascom-inc.jp/books/detail/978-4-7762-1281-2.html
- アスコム『はじめての人のための3000円投資生活』(2016年版):https://www.ascom-inc.jp/books/detail/978-4-7762-0911-9.html
- 確認日:2026年10月23日
この記事は学習用の情報で、投資の勧誘や助言ではありません。投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。