この授業では、AIが使う電気の量を、IEA(国際エネルギー機関)の数字で確かめます。データセンターとは何か、日本ではどう見られているかも、やさしく整理します。
朝のホームルーム|AIとデータセンターの電力はどれくらい?
三岡新入生が、モバイルバッテリーを首から3つぶら下げて、教室に入ってきました。重みで、ふらふらしています。
「主任、AIに質問しすぎて、スマホの電池がもちません! 『AI データセンター 電力』で調べたら、AIはすごく電気を使う、って出てきて」ぷくっ(ふくらみ1回)。気になることは3つです。
- 疑問1 AIは、世界でどれくらい電気を使っているの?
- 疑問2 日本では、どう見られているの?
- 疑問3 電気代や、太陽光などの再エネと関係あるの?
村野教頭が出席をとります。「三岡さん、出席。電池の話は、スマホの話です。今日は、画面の向こう側の電気を見ます」

毎月の電気の明細には、使用量(kWh)が載っています。今日はその10億倍の単位、TWh(テラワット時)が出てきます。数字の大きさを、一緒に確かめましょう。
AIが使う電気の量
データセンターの電力を見る
不確かさ
1AIの答えが届くまで
発電所・太陽光 ▶ 送電線・変電所 ▶ データセンター ▶ スマホの画面へ。
2データセンターの電力(世界・TWh)
IEA「Energy and AI」。2035年の見通しは想定により700〜1,700TWhと幅があります。
3数字の読み方
- 数字は前提つきの見通し
- 出どころを分けて読む
- 「心配いらない」と言い切る
- 「もう限界だ」と煽る
4数字の出どころを分ける
| 出どころ | 書いてあること |
|---|---|
| IEA(世界) | 2030年までの需要増の約1割 |
| IEA(日本) | 2030年まで約15TWh増(80%) |
| 広域機関 | データセンター等を個別に計上 |
| 資源エネルギー庁 | DXの進展で需要増の見込み |
5数字で覚える
授業:AIが使う電気を、公的な数字で見る
村野教頭が黒板に3つ書きました。「要点は3つです。出典は、IEA、電力広域的運営推進機関、資源エネルギー庁です」
要点1 データセンターは、AIの校舎
三岡さんがMeta AIアプリで質問すると、答えは画面の向こうで計算されます。その計算をする建物が、データセンター(コンピューターを大量に置いた施設)です。なお、Metaは2026年4月8日(米国時間)にAIモデル「Muse Spark」を発表しました。公式発表には、電力の数字は書かれていません。そこで、一般的な数字をIEAで見ます。

なお、Meta AI、モデルのMuse Spark、パーソナルAIエージェントの「Muse」は、別々の名前です。Museは2026年10月23日(日本時間)に、日本での提供が始まりました。多くの基本的な機能は無料で、サブスクリプションプランもあります。
IEAの「Energy and AI」によると、2024年のデータセンターの電力消費は、世界で約415TWh。世界の電力消費の約1.5%です。2030年には、2倍を超えて約945TWhになる見通しです(2026年10月25日確認)。

図のとおり、2024年は約415TWh、2030年は約945TWhです。
「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」と三岡。教頭は答えます。「TWhは電気の量の単位で、料金ではありません。1TWhは10億kWhです」
ただし、IEAは「AI関連の電力需要の見通しには、大きな不確かさがある」とも書いています。2035年の見通しは、想定によって700〜1,700TWhと、幅があります。つまり、数字は予言ではなく、前提つきの見通しです。
要点2 日本は、複数の資料で見る
IEAの見通しでは、日本のデータセンターの電力消費は、2030年までに約15TWh(80%)増えます。一方、世界全体では、2030年までの電力需要の伸びのうち、データセンターが約1割を占めるとされています。
国内の資料も見てみましょう。電力広域的運営推進機関(今後10年の電力の見通しをまとめる機関)は、2026年度の供給計画で、データセンターや半導体工場の新増設を、地域ごとに個別に計上しました。2030年度の分は、データセンターと半導体工場を合わせて、最大需要電力で約420万kWです。資源エネルギー庁の解説も、近年はデータセンターなどのDXの進展で、電力需要の増加が見込まれるようになったと説明しています。

図のとおり、世界はIEA、日本は広域機関と資源エネルギー庁、と出どころを分けて読みます。公的な資料を並べると、AIの答えを確かめやすくなります。
この点は、別の解説記事でも詳しく書かれています。電気をつくる側の話として、読んでみてください。
太陽光や風力は天候で出力が変わる。発電量が多い時間に使い切れない電気をためて、別の時間に使える設備が、蓄電池と説明されています。
参考:系統用蓄電池とは?仕組みと再生エネルギーとの関係を初心者向けに解説
要点3 電気は、つくる・送る・ためる
AIの答えが届くまでには、電気の旅があります。発電所や太陽光で電気をつくり、送電線で送り、データセンターが計算し、答えがスマホに届きます。

図の4つの段階は、どれが欠けても答えが届きません。需要が増える話は、つくる側と送る側の話でもあります。
ムコブカ主任がヘルメットのつばを上げました。「放電は得意、貯めるのは苦手。安全確認、ヨシ! ……電気は、使う量と、つくる量を合わせるのが仕事じゃ」
村野教頭が声を落とします。「『AIの電気は心配いらない』と言い切る話も、『もう限界だ』と煽る話も、においます。うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい」三岡が、ぷくっとふくらみました(ふくらみ2回)。
小テスト|2024年のデータセンターの電力
問題。IEAによると、2024年のデータセンターの電力消費は、世界の電力消費の約何%?
- A 約1.5%
- B 約15%
- C 約50%
答えはAです。約415TWhで、世界の約1.5%でした。ただし、2030年の見通しには大きな不確かさがある、という注記も一緒に覚えてください。
今日の宿題
電力会社の明細か、アプリで、今月の使用量(kWh)を探して、メモしてください。見つけたら、その数字を10億倍した量が1TWhです。比べるだけで合格です。
校長のひとこと
シーラカンス校長は、「でんき……4億年前は、電気は雷だけで……」と寝言をつぶやいていました。最後に目を開けます。「……数字は、出どころと一緒に覚えるのじゃ。わからないことは、学校に聞いてね。コメントや各SNSで待っておるぞ。ぐう」

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放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「へい、らっしゃい!今日のパンは、まだ仕入れ中でやんす。準備中ですんで、少々お待ちを」
教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。
次回予告
次回は、サロン見極め科です。ニッコリ先生が、軍服のボタンを磨いて待っています。教室はこちらです。
一次情報はIEA「Energy and AI」でも確認できます。一次情報は電力広域的運営推進機関「2026年度供給計画の取りまとめについて」補足資料でも確認できます。
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出典と確認日
- IEA「Energy and AI」(Energy demand from AI):https://www.iea.org/reports/energy-and-ai/energy-demand-from-ai
- IEA「Energy and AI」(Executive summary):https://www.iea.org/reports/energy-and-ai/executive-summary
- 電力広域的運営推進機関「2026年度供給計画の取りまとめについて」補足資料(2026年3月27日):https://www.occto.or.jp/assets/hyougiinkai/002734/2025_4_besshi_1.pdf
- 資源エネルギー庁 エネこれ「「エネルギー基本計画」最新版を読みとく(前編)」:https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energykihonkeikaku2025_01.html
- Meta「Muse」日本提供開始(2026年10月23日):https://about.fb.com/ja/news/2026/10/muse-personal-ai-agent-launches-in-japan/
- Impress Watch「Muse、日本でスタート」(2026年10月23日):https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2150567.html
- Meta「Muse Spark」発表(日本語):https://about.fb.com/ja/news/2026/04/introducing-muse-spark-meta-superintelligence-labs-first-model-built-to-prioritize-people/
- PC Watch「Muse Spark」の記事(2026年4月9日):https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/2100373.html
- 確認日:2026年10月25日
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