この授業では、AI時代の電力需要について、国の機関が出している見通しを読みます。2026年10月25日時点の情報です。最新の情報は公式サイトで確認してください。
朝のホームルーム|AIで電力需要はどう増える?国の見通しを読む
三岡新入生が、新聞の切り抜きを体じゅうに貼りつけて、教室に入ってきました。ブレザーが、記事だらけです。
「主任、ニュースで『AIで電力需要が増える』って見ました! でも、国が出している数字が、どこにあるのか分からなくて」ぷくっ(ふくらみ1回)。聞きたいことは3つです。
- 疑問1 国は、どんな数字で見通しを出しているの?
- 疑問2 kWとkWhは、何が違うの?
- 疑問3 増えるのは、データセンターのせいだけ?
村野教頭が出席をとります。「三岡さん、出席。ニュースの数字は、出どころと日付から読みます」

毎月の電気の明細には、kWhの数字があります。この単位が分かると、ニュースの数字が一気に読みやすくなります。
電力需要の見通しを読む
kWとkWhを分けて見る
資料
1読む3つの手順
2026年3月27日付の補足資料。AIアプリが数字を答えたら、出どころを聞き返しましょう。
2kWとkWhの関係
2kW
3時間
3全国の需要の見通し
| 項目 | 2025年度 | 2035年度 | 年平均 |
|---|---|---|---|
| 最大需要電力(万kW) | 15,882 | 16,460 | +0.4% |
| 年間需要電力量(億kWh) | 8,434 | 8,871 | +0.5% |
4データセンター等の個別計上(万kW)
データセンターと半導体工場の新増設分。7エリアの最大需要電力の合計です。
5数字で見る
授業:電力需要の見通しを読む3つの手順
ムコブカ主任が、ヘルメットをかぶり直しました。「手順は3つじゃ。出どころ、単位、中身の順で読む」
要点1 出どころと日付を確かめる
今回読むのは、電力広域的運営推進機関(広域機関)の資料です。2026年3月27日付の「2026年度供給計画の取りまとめについて」の補足資料です。
供給計画とは、電気事業法第29条にもとづき、すべての電気事業者が作成する、今後10年間の電気の供給や電源の開発などの計画です。広域機関が、それを取りまとめます(2026年10月25日確認)。
なお、Metaは2026年4月8日(米国時間)にAIモデル「Muse Spark」を発表しました。公式発表と日本の報道を見ても、電力の見通しは書かれていません。AIアプリが数字を答えたら、出どころを聞き返しましょう。
なお、Meta AI、モデルのMuse Spark、パーソナルAIエージェントの「Muse」は、別々の名前です。Museは2026年10月23日(日本時間)に、日本での提供が始まりました。多くの基本的な機能は無料で、サブスクリプションプランもあります。
要点2 kWとkWhを分ける
kWは、電気を使う力の大きさです。kWhは、使った量です。下の図のように、力に時間をかけると、量になります。

たとえば、2kWのヒーターを3時間使うと、6kWhです。「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」と三岡。教頭は答えます。「kWhは電気の量です。料金は、量に単価をかけて決まります。単価は、契約で変わります」
広域機関の資料には、2つの数字が出てきます。最大需要電力(kW)と、年間需要電力量(kWh)です。全国合計(送電端)で見ると、最大需要電力は、2025年度の実績が15,882万kW、2035年度の見通しが16,460万kWです。年間需要電力量は、2025年度が8,434億kWh、2035年度が8,871億kWhです。

図のとおり、年平均の増え方は、最大需要電力が0.4%、年間需要電力量が0.5%です。広域機関は、人口減少や省エネによる減少よりも、経済成長とデータセンター・半導体工場の新増設による増加のほうが大きくなる、と見ています。
この点は、別の解説記事でも詳しく書かれています。「将来の供給力(kW)」を前もって確保する仕組みの話です。
容量市場は、将来の電力の供給力(kW)をあらかじめ確保するための市場で、運営は広域機関と説明されています。
参考:容量市場とは?系統用蓄電池が対価を受け取る仕組みと収益の全体像
要点3 データセンターの分は、別に積み上げている
広域機関の資料では、データセンターと半導体工場の新増設は、案件を個別に計上しています。計上したのは、北海道、東北、東京、中部、関西、中国、九州の7エリアです。
合わせた最大需要電力は、2026年度で+83万kW、2030年度で+420万kW、2035年度で+762万kWです。

図の2035年度の762万kWを、全国の2035年度の最大需要電力16,460万kWと比べると、約4.6%です(筆者の計算)。なお、この数字は、個別計上をした7エリアの合計です。
世界の見通しも、並べておきます。IEAは、2030年までの世界の電力需要の伸びのうち、データセンターが約1割と書いています。先進国では、2割を超えるとされています。資源エネルギー庁の解説も、データセンターや半導体工場の新増設などのDXの進展で、電力需要の増加が見込まれるようになった、と説明しています。
広域機関は、2025年度の取りまとめで挙げた課題の1つとして、こう書いています。データセンター・半導体工場などで需要が増える想定がある一方で、電源は新増設よりも休廃止が多く、中長期の需給バランスは厳しい状況です。
ムコブカ主任が、胸を張りました。「放電は得意、貯めるのは苦手。安全確認、ヨシ! ……数字を読むときも、安全確認は出どころからじゃ」
村野教頭が声をひそめます。「『AIのせいで停電する』という断言も、『ぜんぶ大丈夫』という断言も、においます。うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい」三岡が、ぷくっとふくらみました(ふくらみ2回)。
小テスト|年間需要電力量の単位は?
問題。広域機関の資料で、「年間需要電力量」の単位はどれ?
- A kW(キロワット)
- B kWh(キロワット時)
- C 万人
答えはBです。kWhは使った量で、億kWhで表されていました。kWは、電気を使う力の大きさです。
今日の宿題
電気の明細かアプリで、「kWh」と書かれた数字を探して、今月の使用量をメモしてください。「kW」と書かれた数字があれば、その横に並べて書きます。見つけるだけで合格です。
校長のひとこと
シーラカンス校長は、「にせん……さんじゅうご……ねん……」と、年度の寝言をつぶやいていました。最後に目を開けます。「……見通しは、予言ではない。前提が変われば、数字も変わるのじゃ。ぐう」

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放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「へい、らっしゃい!今日のパンは、生地を寝かせてるとこでやんす。準備中ですんで、また覗いておくんなせえ」
教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。
次回予告
次回は、サロン見極め科です。ニッコリ先生が、「AIで稼げる」の話を持って待っています。教室はこちらです。
一次情報は資源エネルギー庁 エネこれ「「エネルギー基本計画」最新版を読みとくでも確認できます。
合わせて読みたい
出典と確認日
- 電力広域的運営推進機関「2026年度供給計画の取りまとめについて」補足資料(2026年3月27日):https://www.occto.or.jp/assets/hyougiinkai/002734/2025_4_besshi_1.pdf
- IEA「Energy and AI」(Executive summary):https://www.iea.org/reports/energy-and-ai/executive-summary
- 資源エネルギー庁 エネこれ「「エネルギー基本計画」最新版を読みとく(前編)」:https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energykihonkeikaku2025_01.html
- Meta「Muse」日本提供開始(2026年10月23日):https://about.fb.com/ja/news/2026/10/muse-personal-ai-agent-launches-in-japan/
- Impress Watch「Muse、日本でスタート」(2026年10月23日):https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2150567.html
- Meta「Muse Spark」発表(日本語):https://about.fb.com/ja/news/2026/04/introducing-muse-spark-meta-superintelligence-labs-first-model-built-to-prioritize-people/
- PC Watch「Muse Spark」の記事(2026年4月9日):https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/2100373.html
- 確認日:2026年10月25日
この記事は学習用の情報で、契約や投資の勧誘や助言ではありません。契約や投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
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