この授業では、有名人をかたる偽広告で投資に誘われたときの見分け方がわかります。そして、困ったときの相談先も、公的な情報で学びます。
朝のホームルーム|マグロ社長の広告
廊下からバタバタと足音。三岡新入生が教室の前で急ブレーキをかけ、床を5メートルすべっていきました。壁に当たって、ぷるぷる。
「教頭先生、SNSに『テレビで見るマグロ社長が教える、人生が変わる投資』という広告が出ました。写真は本人そっくりです。この有名人の偽広告、見分けられますか? 顔や声が本人らしくても、信じてはだめですか? だまされたかもと思ったら、どこに相談しますか?」
ぷくっ(ふくらみ1回)。村野教頭が出席簿をとんと置きます。「三岡さん、出席。質問は3つですね。マグロ社長はこの学校のフィクションですが、手口は現実にあります」

たとえば、友だちのSNSに「いいね」を押す気軽さで、広告をタップしたとします。その先に、数十万円の入金を求める画面が待っていたら。そうならない確認を、今日は学びます。
有名人の偽広告で
投資に誘われたら
入口の主役
1最初の接触(2025年・件)
22025年の確定値
3偽広告の手口の流れ
4本物か確かめる4つ
- 広告の画面を保存しておく
- 本人の公式サイトやアカウントを見る
- 金融庁の登録の一覧で調べる
- 振込先が個人名義でないか見る
5AIに聞くとき(Muse Spark)
- 広告の画面を見せて「あやしい点は?」と聞く
- 本人が出した広告だという証明
- なりすまし広告は検出が難しい場合もある(Meta)
6相談できる窓口
授業:有名人の偽広告で投資に誘われたら
教頭が、黒板にマグロの絵を描き、上から「?」を書きました。「要点は3つです」
1. 数字で見ると、広告は入口の主役です
警察庁は2026年6月5日、2025年のSNS型投資詐欺の確定値を公表しました。認知件数は9,523件、被害額は1,288.0億円です。どちらも前の年より約48%増えています。
最初の接触は、バナー等の広告が3,785件、ダイレクトメッセージが3,549件でした。この2つで、全体の約8割です。さらに、広告には、著名人の画像や動画を無断で使ったものが確認され、「元本保証」などの文言を含むものもありました。

三岡の体が、ぷくっとふくらみました(ふくらみ2回)。「広告が、いちばん多いんですか」
ニッコリ先生が、軍服の肩をいからせます。「顔は貸せても、信用は貸せぬ。諸君、入学金は元が取れたか」

2. 手口には、流れがあります
金融庁によると、SNS上の偽アカウントや偽広告は、著名人を装います。公式のアカウントやウェブサイトの写真を、無断で使うこともあります。広告やURLをクリックすると、LINEのグループや詐欺サイトに誘導されます。
グループの中では、複数のアカウントを使って、投資が成功しているそぶりを見せます。しばらくは利益が出たように装い、高額な入金をさせます。その後、連絡が取れなくなったり、出金時に高額な手数料や税金を求められたりします。下の図が、その流れです。

Metaは2024年10月、著名人のなりすまし広告を見つけるために、顔認証を使うテストを始めると発表しています。同じ発表の中で、なりすまし広告は検出することが難しい場合もある、とも書いています。運営会社の対策はありますが、利用する側の確認も欠かせません。
運用を始める前の準備の手順に、投資をかたる詐欺の手口、不審な勧誘への確認の流れ、相談先(188、#9110、金融庁の相談ダイヤル)を控える項目があります。
参考:資産運用を始める前の準備の手順を整理
この点は、別の解説記事でも詳しく書かれています。
3. 確かめる場所と、相談先
国民生活センターは2026年9月1日の公表で、著名人の公式サイトや公式アカウントで、投資に関する注意喚起が出ていないか確認するよう案内しています。また、金融庁のサイトで、相手の登録の有無を調べるよう勧めています。指定された振込先が個人名義なら、詐欺です。
三岡が小声で聞きます。「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」 教頭が首を振ります。「相談は無料です。電話番号は下の図にまとめました」


Metaが2026年4月8日(米国時間)に発表したMuse Sparkは、公式発表で、写真など目の前の情報を見て理解できる、と説明されています。広告の画面を見せて「あやしい点は?」と聞く使い方は、考えられます(筆者の例です)。ただし、AIの答えは、本人が出した広告だという証明ではありません。最後は、本人の公式サイトと金融庁の一覧で確かめます。入力した内容の扱いは、規約で確かめましょう。なお、Meta AI(アシスタントの名前)、Muse Spark(そのアシスタントで動くAIモデル)、Muse(2026年10月23日に日本で提供が始まったパーソナルAIエージェント)は、別の名前です。

「うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい」と教頭。「ですが、写真のにおいは頼りになりません。確かめる場所は、決まっています」
小テスト
有名人の写真つき投資広告を押したら、LINEのグループに誘われました。次の対応で、よいのはどれでしょう。
- A 写真が本人そっくりなので、信じて参加する
- B 本人の公式サイトや公式アカウントで注意喚起を探し、金融庁の登録も調べる
- C 利益が出たと言われたので、追加でお金を入れる
答えはBです。国民生活センターが、公式サイトでの注意喚起の確認と、金融庁での登録の確認を案内しています。
今日の宿題
金融庁の「SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!」のページを開き、相談窓口の電話番号を、スマホのメモに1行写してください。5分で終わり、お金はかかりません。
校長のひとこと
シーラカンス校長は、授業の間ずっと寝ていました。最後に、のそりと首を上げます。
「顔は貸せても、信用は貸せんのじゃ……むにゃ。わからないことは、学校に聞いてね。コメントや各SNSで待っておる」
放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「へい、らっしゃい!今日のパンは仕入れの途中でやんす。準備中ですので、もうしばらくお待ちを」
教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。
次回予告
次の教室はのれん分け科です。法被のマネッコ先輩が、のれんを分けてもらうときのお金と契約の見方を、声を張って教えます。
一次情報は国民生活センター「SNSで著名人が勧める“もうかる方法” それって本当!?」でも確認できます。
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出典と確認日
- 警察庁・SOS47「2025年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」(2026年6月5日):https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/260605/01.html
- 金融庁「SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!」:https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/sns.html
- 国民生活センター「SNSで著名人が勧める“もうかる方法” それって本当!?」(2026年9月1日公表):https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260901_1.html
- Meta「詐欺対策、アカウント復旧において顔認証技術を活用するテストを開始」(2024年10月):https://about.fb.com/ja/news/2024/10/face_rec_for_scams_and_compromise/
- Meta「『Muse Spark』登場」(2026年4月):https://about.fb.com/ja/news/2026/04/introducing-muse-spark-meta-superintelligence-labs-first-model-built-to-prioritize-people/
- 報道(Muse Sparkの発表日の確認用):PC Watch:https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/2100373.html
- Meta「パーソナルAIエージェント『Muse』を日本で提供開始」(2026年10月23日):https://about.fb.com/ja/news/2026/10/muse-personal-ai-agent-launches-in-japan/
- 確認日:2026年10月25日
この記事は学習用の情報で、契約や投資の勧誘や助言ではありません。契約や投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
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