朝のホームルーム
三岡新入生が、ぶかぶかのブレザーのそでで画面を隠しながら駆け込んできました。
「先生、ぼくの名前入りのメールが届きました。『ミオカ様、個人情報漏洩のお詫びと補償のご案内です』って。リンクもついてます」
ぷくっ(ふくらみ1回)。
村野教頭が出席簿から顔を上げます。「リンクは押していませんね。では出席をとります。三岡くん、出席」

2026年10月23日、東京都が援農ボランティア事業の個人情報漏洩の恐れを発表しました。名前とメールアドレスが分かれば、相手の名前を呼びかけた詐欺メールの文面は作れます。たとえば推し活のチケット会員サイトや、サロンの会員サイトでも、同じことが起こりえます。届いたときに見る3点を整理します。
漏洩のあとに届く詐欺メール
見る3点
(2026年10月23日発表)
1東京都の発表
2届いたときの順番
3本物かどうかの見方
- 自分で登録した入口から入る
- 多要素認証を設定する
- 宛名が合っている
- 見覚えのある差出人名
4覚えておく
- 名前だけで文面は作れる
- 証券会社以外にも同じ考え方
- 迷ったら公式の窓口へ
授業:個人情報漏洩のあとの詐欺メール、見る3点
まず、ニュースの中身です。村野教頭が黒板に書きます。
- 東京都産業労働局が、2026年10月23日に発表しました。
- 東京広域援農ボランティア事業(運営は東京都農林水産振興財団)が使っていたメール配信サービス「ブラストメール」に、不正アクセスがありました。
- 生産者とボランティア参加者の氏名、メールアドレス、属性が、最大約1万6,000件漏れた可能性があります。件数は最大であり、確定ではありません。調査中です。
- 提供元の説明では、外部の第三者が配信基盤のAPI用サーバー2台に入り込み、データベースから情報を取り出したとされています。侵入の経路は調査中です。
- 財団はこのサービスの利用とメール配信を止めました。都は、不審なメールに注意するよう呼びかけています。
NHKと日本経済新聞も、この件を報じています。産経新聞は、同じ配信サービスをめぐる被害が続いていると報じました。
「発表で挙げられた項目に、パスワードやカード番号は出てきません。それでも用心は要ります」と教頭は続けます。
1つ目:漏れたのは「連絡網」
「学校の連絡網が落とし物になった状態です。名前と連絡先が書いてあります。拾った人は、先生を名乗って電話をかけられます」
三岡が叫びます。「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」

ニッコリ先生が軍服の襟を正しました。「月額の話ではない、三岡。宛名が合っていても、本物とは限らないという話だ」
名前入りのメールは、本物の知らせにも、なりすましにも見えます。宛名の一致は、本物の証拠になりません。
2つ目:リンクを押さず、公式の入口から入り直す
金融庁は、証券会社をかたるフィッシング(本物のふりをして、IDやパスワードを盗む手口)への対策を示しています。2026年10月27日に確認した要点は、次のとおりです。
- 見覚えのある相手からのメールやSMSでも、書かれたリンクからはアクセスしない
- 事前に登録した正しいURLのブックマークから入る
- ログイン時や出金時に、多要素認証(パスワードに加えて、もう一段の確認を足すしくみ)と通知サービスを設定する
証券会社の話ですが、ネットバンクやサロンの会員サイトでも考え方は同じです。メールの中の入口は使いません。自分で決めた入口を使います。
連絡の入り口ごとに詐欺の型を整理した回が、この学科にもあります。
投資詐欺の手口を4つの型に分け、連絡の入り口から見分ける方法を整理した回です。
参考:投資詐欺の手口 4パターン。連絡の入り口で見分ける
3つ目:入力してしまったら、すぐ動く
金融庁の案内では、不審なサイトに情報を入力した疑いや、身に覚えのない取引があるときは、証券会社の窓口に連絡し、速やかにパスワードを変えます。パスワードの使い回しは避け、できるだけ長いものにします。パソコンやスマホのOSを最新にしておくことも挙げられています。
ニッコリ先生が黒板をたたきます。「恥ずかしがって黙るのが、いちばん遅い。連絡は早いほど、傷は浅い」

自分が事業の登録者かもしれないときは、東京都の発表と、サービス提供元のお知らせで最新の情報を確かめます。
小テスト
名前入りで「情報流出のお詫びと補償の手続きです。下のリンクから進んでください」というメールが届きました。最初の行動はどれでしょう。
- A 宛名が合っているので、リンクから手続きする
- B リンクは開かず、ブックマークした公式ページから入って確かめる
- C メールに返信して、本物かどうか聞く
答えはBです。宛名が合っていても、本物の証拠にはなりません。金融庁も、見覚えのある相手でもリンクからはアクセスせず、ブックマークから入るよう求めています。
宿題
三岡は問題のメールを開かず、ブックマークの公式ページへ向かいました。お詫びも補償も、載っていません。ぷくっ(ふくらみ2回)。
ニッコリ先生が言います。「諸君、入学金は元が取れたか。取れたなら宿題だ」
5分でできます。よく使うサービスを3つ選び、公式のログインページをブックマークに入れます。ついでに、同じパスワードを使い回していないかも見てください。
校長のひとこと
シーラカンス校長は、連絡網のたとえのあたりで寝ていました。終わりのチャイムで片目を開けます。
「わしは4億年、売ったことがないが、知らん手紙の返事を書いたこともない」
そう言って、また寝ました。
詐欺メールの手口や注意喚起は、警察庁が公表しています。個人情報漏洩のあとの対策は、情報処理推進機構(IPA)も案内しています。表示のルール(景品表示法)については、消費者庁が公表しています。
出典と確認日
- 東京都産業労働局「メール配信サービスへの不正アクセスによる個人情報の漏えいについて」(2026年10月23日発表)
- NHK、日本経済新聞、産経新聞の報道(2026年10月23日前後)
- 金融庁「インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引にご注意ください」
確認日:2026年10月27日。この日時点の情報です。最新の情報は、東京都と各公式サイトで確認してください。
この記事は学習用の情報で、投資の勧誘や助言ではありません。投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
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