朝のホームルーム
キーンコーンカーンコーン。授業前、三岡新入生のスマホが鳴りました。画面には「日経平均 3,318円安」。ぷくっ(ふくらみ1回)。
「ひぇっ、それ、月いくらからですか? 私のお金、3,318円も減ったんですか?」
村野教頭が出席簿を閉じます。「息を吐きなさい。あの数字は、225社の株価をならした平均の動きです。あなたの口座の減った額ではありません」
たとえば毎月5,000円の積み立てなら、見るのは自分の運用額。ニュースの数字と自分の数字を分けて見るだけで、落ち着けます。今日は、急落した日の読み方を学びます。
授業:急落した日の読み方
黒板の前に、後ろ向きのまま和大先生が滑り込んできました。ブラックゴーストの応援団長です。「押忍!話題は全力で拾う、見通しはネガティブ全開! 今日の急落なんぞ序の口だ。明日はもっと暗いぞ!」
「先生、予想は書かない決まりです」と教頭。「要点は3つ。私から教えます」
要点1 その日、何が起きたか
2026年10月15日(木)、日経平均の終値は64,425.95円。前日より3,318.34円安でした。共同通信は、下げ幅が過去3番目の大きさだったと報じています。みんかぶは、6日続落だったと伝えました。
ロイターによると、下落率は4.9%。TOPIX(東証の別の指数)は約2.4%の下げでした。
理由として報じられたのは、おもに3つです。AIの需要への不安で半導体関連が売られたこと。前日の米国で物価指標が予想を上回り、早めの追加利上げへの見方が出たこと。AI向けのデータセンターを運営する会社の財務への不安が広がったこと(共同通信・ロイター・みんかぶ)。原因をひとつに決めることはできません。
全部の株が同じように下がったわけでもありません。33業種のうち23業種が下落(みんかぶ)。医薬品は約4%上がりました(ロイター)。下の図に、この日の数字を並べました。

要点2 「円」と「%」と「過去」で測る
日経平均は、225銘柄の株価を平均した指数です(日経の説明)。下げ幅の「円」ばかり見ていると、大きさを読み違えます。
たとえば、満点が違う2つのテストを考えてください。同じ30点落ちても、100点満点と500点満点では重さが違います。
1日の下げ幅で見ると、2024年8月5日が4,451.28円、1987年10月20日が3,836.48円。今回の3,318.34円は、それに次ぐ3番目と報じられました。

率にすると、2024年8月5日は約12%、今回は約4.9%です(終値と下げ幅から筆者が計算)。三岡「じゃあ、円の順番と、こわさの順番は同じじゃないんですね。ぷくっ(ふくらみ2回)」
要点3 急落した日にやらないこと
教頭が黒板に3つ書きました。見出しだけで決めない。その日のうちに結論を出さない。取り返そうと金額を増やさない。

株や投資信託は、値下がりして元本割れすることがあります。あわてた日の判断は、一晩寝かせます。
教頭「『今ならまだ取り返せる』という声は、うまい話のにおいがします。うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい」
三岡「取引が止まる仕組みは、ないんですか?」教頭「日経225先物には、基準値段の上下8%の制限値幅があります。限度に達するとサーキットブレーカーが働き、10分間以上、取引が中断されます(日本取引所グループ)」
急落しても生活が崩れないための土台づくりは、別の解説記事でも詳しく書かれています。
運用を始める前の準備を7つの手順で整理。お金を「使う・貯める・増やす」に分け、緊急用の資金も考える内容です。
参考:資産運用を始める前の準備の手順を整理
小テスト
日経平均が3,318円下がった日。「自分の口座が、そのまま3,318円減った」という理解は、どれでしょう。
- A そのとおり。口座も3,318円減る
- B ちがう。225銘柄の平均の動きで、口座の増減は持っているもので変わる
- C 銀行が3,318円を引き落とす
答えはBです。日経平均は、口座の残高ではなく、株価の平均の動きを示す数字だからです。
今日の宿題
ニュースアプリで「日経平均」の記事を1本開き、「円」と「%」の両方が書いてあるか探します。あれば、下げた率を声に出して読む。5分で終わり、お金はかかりません。
校長のひとこと
ここまで寝ていたシーラカンス校長が、ふいに目を開きました。「……わしは4億年、売ったことがない」。また寝ました。
放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「へい、らっしゃい!今日のパンは仕入れ中でやんす。準備中ですので、少々お待ちを」
教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。
次回予告
村野教頭「次回は放課後バイト科の教室へ。テッポウウオの天楽先生が、水鉄砲で黒板に「やったるでぇ」と書いて待っています。濡れます」
出典と確認日
2026年10月23日時点の情報です。最新の情報は公式サイトで確認してください。確認日:2026年10月23日。
- 共同通信(熊日サイト掲載)2026年10月15日:kumanichi.com/articles/2046867
- みんかぶ 東京株式市場・大引け 2026年10月15日:minkabu.jp/news/4636798
- ロイター(The Standard掲載)2026年10月15日:thestandard.com.hk/finance/article/345572
- OANDA Lab 市況記事 2024年8月5日:oanda.jp/lab-education/market_news/mn_912199_202408051942
- 日経平均プロフィル:indexes.nikkei.co.jp/nkave/index/profile
- 日本取引所グループ「制限値幅・サーキットブレーカー制度」:jpx.co.jp/derivatives/rules/price-limit-cb
この記事は学習用の情報で、投資の勧誘や助言ではありません。投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。