経費率とは何か、4本のETFの数字をどう並べて見るのかがわかります。さらに、数字の名前や基準日のそろえ方も学びます。
朝のホームルーム|経費率とは何か
さて、校庭の掲示板に、S&P500に連動するETFの名前がずらりと貼られていました。三岡新入生は、ぶかぶかのブレザーのまま背伸びして、数字を指でなぞっています。
「0.03%、0.0945%、0.066%…。でも、どれも小さい数字で、違いが分かりません。経費率とは、どう見ればいいんですか?ぷくっ(ふくらみ1回)」
そこで、村野教頭が出席をとります。「三岡さん、出席。スタモル留学生、出席。校長は掲示板の下で寝ていますが、出席」

今日の検索語は「S&P500連動ETFの経費率とは」です。ただし、並べる軸は1本だけ。「持っている間にかかるコスト」です。たとえば100万円を持つと、1年で数百円の差が出ることがあります。おにぎり数個ぶん。円にすると実感が湧きます。
ETFの経費率とは?
S&P500連動4本を同じ型で
なし
11年のコストの計算
100万円
0.03%
2100万円を1年持つ金額の単純計算(円)
IVV・VOOは経費率0.03%、SPYは総経費率0.0945%、2633は信託報酬率0.066%・総経費率0.14%。数字の名前が違うので単純比較はできません。
3比べる前の3つのものさし
- 数字の名前(経費率・信託報酬・総経費率)
- いつの数字か(基準日・集計期間)
- 売買手数料・為替・税金は含まない
4数字で見る
授業:経費率とは、持っている間のコストで並べる
すると、教頭が黒板に大きく書きました。「では、今日は紹介の授業です。もちろん、順位も、推奨もありません。S&P500(米国の大型株約500社をまとめた指数)に連動するETFを4本、同じ型で並べます」
「並べる順番は、米国上場3本をティッカー(銘柄の略称)のアルファベット順、最後に東京証券取引所の1本です。順位ではありません」
軸:経費率とは持っている間のコスト
ETFは買って終わりではありません。実は、持っている間、毎日少しずつ、運用のための費用が中から引かれます。たとえば、購買部の「保管料」のようなものです。この費用を年率で示した数字が、経費率です。つまり、経費率とは、持っている間のコストの目安です。
米国の証券取引委員会(SEC)は、経費率を「ファンドの平均純資産のうち、毎年、運営費に使われる割合」と説明しています。なお、運営費には、運用の報酬などが含まれます。また、数字は、ファンドの目論見書の費用の表で見つけられます。
次に、下の図は、1年のコストの計算式です。

一方、三岡がスマホの電卓を叩きます。「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」

「ちなみに、月に直すなら、1年のコストを12で割ります。たとえば年300円なら、月25円ぶんです」
経費率のものさし3つ
最初に、教頭が指を3本立てました。「数字を並べる前に、ものさしを3つ決めます」

1つ目は、数字の名前です。まず、米国のETFは経費率。一方、日本のETFのページには、信託報酬(運用の報酬)と総経費率が別々に載ることがあります。総経費率の中身は、目論見書や公式の説明で確認します。つまり、何を含む数字かで、比べ方が変わります。
2つ目は、いつの数字かです。たとえば、基準日や集計期間が違えば、数字も変わります。
3つ目は、持っている間以外の費用です。売買手数料、為替のコスト、税金は、経費率には入っていません。経費率とは、持っている間のコストだけの数字です。
また、スタモル留学生が、セーラー服のスカーフを直しました。「ワタシの川では、ぜんぶドル建てデス。米国上場のETFは、ドルで買う川の話デス」

ちなみに、NISAのつみたて投資枠の対象にも、信託報酬の基準があります。なお、この点は、別の解説記事でも詳しく書かれています。
つみたて投資枠の対象は、販売手数料が0%で、信託報酬が低水準であることなどの基準を満たした投資信託だ、という説明です。
参考:つみたて投資枠と成長投資枠の違いを制度から整理
4本の経費率を同じ型で並べる
次に、各ETFの数字は、運用会社の公式ページで確認しました。また、項目の型は、4本ともそろえています。
IVV|iShares Core S&P 500 ETF
- 運用会社:ブラックロック
- 上場先:米国(ドル建て)
- 持っている間のコスト:経費率0.03%(運用管理費0.03%、その他の費用0.00%)
- 確認:運用会社の公式ページ(「目論見書に記載の手数料」と表示。基準日の表示なし)、2026年10月25日確認
SPY|SPDR S&P 500 ETF Trust
- 運用会社:ステート・ストリートのグループ
- 上場先:米国(ドル建て)
- 持っている間のコスト:総経費率0.0945%(費用の免除などを引く前の数字と書かれています)
- 確認:運用会社の公式ページ(Fund Information as of 2026年10月25日)、2026年10月25日確認
VOO|Vanguard S&P 500 ETF
- 運用会社:バンガード
- 上場先:米国(ドル建て)
- 持っている間のコスト:経費率0.03%
- 確認:運用会社の公式ページ(経費率の基準日は2026年4月28日)、2026年10月25日確認
2633|NEXT FUNDS S&P 500指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信
- 運用会社:野村アセットマネジメント
- 上場先:東京証券取引所(円で売買できます)
- 持っている間のコスト:信託報酬率0.066%、総経費率0.14%(どちらも年率・税込。総経費率は2025年9月11日〜2026年3月10日の集計)
- 確認:運用会社の公式ページ、2026年10月25日確認
さらに、下の表は、4本を1枚にまとめたものです。特に、数字の名前が違う点に注意してください。

教頭が眉を上げます。「うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい。数字が小さいほど話がうまく聞こえますが、においの正体は『何を含む数字か』です。名前をそろえずに並べると、においで迷います」
経費率を円にすると、どれくらい?
経費率とは年率の数字なので、円に直すと見えてきます。まず、公表された年率で、100万円を1年持ったときの金額を単純計算しました。ただし、仮の計算です。なお、為替や税金、売買手数料は含みません。

三岡がまた丸くなります。「ぷくっ(ふくらみ2回)。差は数百円…ひとつひとつは小さいです」
「そうです。ただし金額が大きくなれば、期間が長くなれば、差も積み上がります。数字の名前と基準日をそろえて、自分の目で見ることが、この授業のゴールです」
経費率のほかにも、売買のしやすさや、為替の影響など、見る点は多くあります。なお、ここは細かいので、各社の公式ページで確認してください。
小テスト|経費率とはの確認
経費率とは何かの復習です。ETFの経費率を並べて見るとき、最初に確認するのはどれですか。
- A:運用会社の知名度
- B:何を含む数字か(経費率か、信託報酬か、総経費率か)と、いつの数字か
- C:ティッカーの文字数
答えはBです。なぜなら、数字の名前と基準日がそろっていないと、比べても意味が変わってしまうからです。
今日の宿題|経費率を書き写す
経費率とは何かを、自分の目で確かめる宿題です。まず、気になるS&P500連動ETFを1本、公式ページで開いてください。次に、「経費率」か「信託報酬」の数字と、その「基準日」の2つを、メモに書き写すだけです。もちろん、買う必要はありません。
校長のひとこと
最後に、掲示板の下で寝ていたシーラカンス校長が、片目だけ開けました。
「…つまり、持っている間の費用は、4億年かけてゆっくり溶ける、岩のようなものじゃ。見えにくいが、消えはせん。経費率とは、その岩のようなものじゃ。わしは4億年、売ったことがない」
そう言って、また目を閉じました。
放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「へい、らっしゃい!今日のパンは、まだ生地をこねている最中でやんす。準備中ですので、少々お待ちを」
教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。
次回予告
次回はニュース耳より科の教室へ。後ろ向きに泳ぐ和大先生が、応援団長の声で待っています。そこで、ニュースの拾い方を学びに行きましょう。
一次情報はVanguard「Vanguard S&P 500 ETF」でも確認できます。
合わせて読みたい
出典と確認日
- iShares(ブラックロック)「iShares Core S&P 500 ETF」:https://www.ishares.com/us/products/239726/ishares-core-sp-500-etf
- State Street Investment Management「SPDR S&P 500 ETF Trust」:https://www.ssga.com/us/en/intermediary/etfs/spdr-sp-500-etf-trust-spy
- Vanguard「Vanguard S&P 500 ETF」:https://advisors.vanguard.com/investments/products/voo/vanguard-s-p-500-etf
- 野村アセットマネジメント NEXT FUNDS「2633」:https://nextfunds.jp/lineup/2633/
- 米国証券取引委員会(SEC)Investor.gov「Expense Ratio」:https://www.investor.gov/introduction-investing/investing-basics/glossary/expense-ratio
- 確認日:2026年10月25日
この記事は学習用の情報で、投資の勧誘や助言ではありません。投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
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