朝のホームルーム
給料日の翌日。三岡新入生が、購買部の前で固まっています。手には、会社の先輩に渡されたメモ。「新NISA、つみたて、成長、よくわからない」と書いてあります。
「先輩が、まず積み立てからって言うんです。つみたて投資枠と成長投資枠の違いも分からなくて……。ひぇっ、それ、月いくらからですか?」
村野教頭(エレファントノーズ)が出席をとります。「三岡くん、出席。メモの字が震えていますね」
たとえば毎月1万円の積み立てなら、1年で12万円。つみたて投資枠の年間120万円の、10分の1です。枠は、まだ9割あいています。
授業:NISAの2つの枠を、自販機で覚える
教頭が、購買部の前に2台の自販機の絵を貼りました。
1台目は「つみたて自販機」。毎月コインを入れると、金融庁の基準を通った定番ドリンクだけが出てきます。2台目は「成長コーナー」。ドリンクもおにぎりもお弁当もそろう、まとめ買い売り場です。
NISA(運用で得た利益に税金がかからない国の制度)は、この2つの売り場でできています。違いは3つ。まず全体を、下の図で見てください。

違い1:1年に入れられる額
つみたて投資枠は年間120万円まで、成長投資枠は年間240万円まで。両方使うと、年間で最大360万円です(2026年10月23日確認)。

三岡「360万円!?そんなに入れられません」。ぷくっ(ふくらみ1回)。教頭「使い切る義務はありません。そして、使い残した枠は、翌年に繰り越せません」
違い2:一生で使える総枠
非課税で持てる合計は、1,800万円までです。数え方は、買ったときの値段(簿価)です。そのうち成長投資枠は1,200万円まで。持てる期間は、どちらの枠も無期限です。
売ったらどうなるか。売った商品の簿価の分だけ、翌年以降に枠が戻ります。同じ年のうちには戻りません。下の図の例で見てみましょう。

三岡「値上がりした分も、枠に戻るんですか?」。教頭「戻るのは、買ったときの値段ぶんだけです。売ったときの値段ではありません」
違い3:買えるものと買い方
つみたて投資枠で買えるのは、金融庁の基準を満たした投資信託(たくさんの人のお金をまとめて運用する商品)だけです。買い方は、積立(決まった日に決まった額を買う)に限られます。株は買えません。
成長投資枠は、上場株式や投資信託などが対象です。ただし、信託期間が20年未満の投資信託や、毎月分配型の投資信託などは対象外です。
つみたて投資枠で選ぶ投資信託の中身は、インデックスファンドの回で扱います。ここまでの違いは、別の解説記事でも詳しく書かれています。
金融庁の資料をもとに、年間投資枠・総枠・対象商品の違いを制度面から整理した記事です。
参考:つみたて投資枠と成長投資枠の違いを制度から整理
注意が2つ
三岡「先輩が、NISAなら損しないって言ってました」。教頭「NISAは、税金の仕組みです。値上がりの約束ではありません。うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい」
値下がりして元本割れすることもあります。NISA口座の損失は、ほかの口座の利益と合わせて税金を減らすこともできません。
もう1つは来年の予定です。金融庁のサイトでは、2027年1月からつみたて投資枠の年齢要件がなくなると案内されています。0〜17歳も口座を開けるようになります(年間60万円、総枠600万円。成長投資枠は使えません)。制度は変わることがあるので、最新は公式サイトで確認してください。
小テスト
新NISAの2つの枠を両方使うと、1年に入れられる最大額はいくら?
- A:120万円
- B:240万円
- C:360万円
答えはCです。120万円と240万円を足して、360万円。1,800万円は、一生で使える総枠のほうでした。
今日の宿題
金融庁のNISA特設サイト(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html)を開いて、年間投資枠の数字を、今日の授業と見比べます。5分で終わります。
校長のひとこと
自販機の前で寝ていたシーラカンス校長が、コインの落ちる音で目を覚ましました。「……枠は、使い切るためにあるのではない。暮らしの残りで、ゆっくり使うのじゃ」また寝ました。
放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「へい、らっしゃい!今日のパンは入荷待ちでやんす。準備中ですので、いましばらくお待ちを」
教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。
次回予告
次の授業は、積ん読科の教室です。ホズミ先生の机で、読みかけの本が三岡を待っています。
出典と確認日
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト(制度の概要) https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html
- 金融庁『NISAを利用する皆さまへ』 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/slide_202406.pdf
- 日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』(2026年9月版) https://www.jsda.or.jp/shijyo/seido/tax/files/202609_nisa_qa.pdf
確認日:2026年10月23日
この記事は学習用の情報で、投資の勧誘や助言ではありません。投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。