この授業では、インフルエンサーの投資の投稿と、ステマ規制の関係がわかります。そして、広告と分かる書き方も学びます。
朝のホームルーム|ステマ規制の相談
三岡新入生が、スマホを握りしめて駆け込んできました。しかも、ぶかぶかのブレザーの袖が、画面にかぶっています。
「先生、SNSで人気の人が『この投資の勉強会、よかった』と投稿していました。あれ、広告なんですか? それとも、インフルエンサーの投資の話にも、ステマ規制は関係あるんですか?」
そこで、村野教頭が出席簿を開きます。「三岡さん、出席。つまり、広告かどうかを見分ける話ですね」

たとえば、広告と知らないまま、毎月5,000円の会費を払い始めたとします。広告と知ってから選ぶのとでは、納得感がちがいそうです。
インフルエンサーの
投資情報は広告?
規制の対象
1投稿が広告になる流れ
2広告表示の書き方
- 「広告」「PR」と書く
- 「A社から提供を受けた」と書く
- 動画は画面に常に表示
- 末尾の隅にこっそり置く
- 周りより小さい・薄い色の文字
- ハッシュタグに埋める
- 返信欄だけに書く
3覚える2点
4投資の話を見たら4チェック
授業:ステマ規制のポイント
そして、教頭が黒板に「ステマ」と大きく書きました。「では、要点は3つです」
1. ステマ規制とは、広告を広告と分からなくすること
まず、ステマ(ステルスマーケティング)とは、企業の広告なのに、広告だと分かりにくい表示のことです。そして、消費者庁は、2023年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反になった、と案内しています(2026年10月25日確認)。
理由は、読む側の頭の中にあります。つまり、広告と分かれば、人はある程度の誇張を割り引いて読みます。でも、友だちの感想だと思うと、割り引かずに信じてしまう。そこを守る規制だと、運用基準にあります。
また、対象は商品だけではなく、サービス(役務)もです。サービスの会員募集のような表示も対象になり得ます。当たるかどうかは個別の事情で決まります。
三岡が小声で言いました。「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」

ニッコリ先生が軍服の胸を張ります。「規制にお金はかからん。諸君、入学金は元が取れたか」
2. ステマ規制で規制されるのは広告主
規制の対象は「いわゆる広告主」、つまり商品やサービスを売る会社です。ただ、頼まれて投稿するインフルエンサーは、原則として規制の対象外とされています。そして、違反が認められると、消費者庁は広告主に「措置命令」を出します。
三岡の体が、ぷくっとふくらみました(ふくらみ1回)。「じゃあ、投稿した人は何も困らないんですか?」

教頭が首を振ります。「広告主が『広告です』と分かるようにする結果、投稿する側にも事実上の制約が及ぶ、と運用基準は書いています。さらに、お金や物だけでなく、イベントへの招待も、対価に数えられます」
一方、自分で買って、自分の意思で書いた感想なら、「PR」と書く必要はないと案内されています。なお、個別のケースが当てはまるかどうかは、消費者庁の窓口や弁護士などの専門家に確認してください。

つまり、上の図のように、依頼があり、内容に広告主が関わると、投稿は「事業者の表示」になります。そうなったら、広告と分かる明示が必要です。
3. 分かる書き方と、分かりにくい書き方
まず、分かりやすい例は、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」の文言です。また、「A社から商品の提供を受けて投稿している」という文章も、例に挙がっています。
次に、分かりにくい例は、表示の末尾にこっそり置く、周りより小さい、薄い色にする、大量のハッシュタグに埋める、などです。さらに、動画は冒頭だけだと見逃されやすく、画面に常に出すのが望ましい、とされています。

左が合格の書き方、右が見落とされやすい書き方です。また、返信欄(ツリー)にだけ書く形も、気づかれないおそれがあるとされています。
実は、ステマ規制は景品表示法の中のルールです。同じ法律には、価格の見せ方を縛るルールもあります。また、この点は、別の解説記事でも詳しく書かれています。
セールの「通常価格」などの二重価格表示は、内容が事実と違うと、景品表示法の有利誤認表示に当たるおそれがある、と整理されています。
参考:セールの「通常価格」表示、どこまで大丈夫?二重価格の質問と答え
では、ここから投資の話です。金融庁は、登録のない人がSNSなどの偽の広告を入口にして人を誘い、その先で金融商品取引業にあたる行為をすると、一連の行為が金融商品取引法に違反し得ると明確にしています。
三岡が、またぷくっとふくらみます(ふくらみ2回)。「広告と書いてあっても、中身が本当とは限らないんですね」
「そのとおりです。広告表示は『これは広告です』という印で、中身の保証ではありません」と教頭。「うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい。だから、印と登録の有無を、両方見ます」
なお、登録の有無は、金融庁の「金融事業者一括検索機能」で調べられます。

小テスト|ステマ規制の確認
A社がお金を払い、「こう書いてね」と頼んだ投稿があります。表示の仕方として正しいのは、どれでしょう。
- A 感想だから、何も書かない
- B 「広告」「PR」などの言葉を、見える位置にはっきり書く
- C 大量のハッシュタグの中に、小さく「PR」と混ぜる
答えはBです。一方、Cは、事業者の表示であることを他の情報に紛れ込ませる例にあたります。
今日の宿題
まず、いつも見ているSNSの投資系アカウントを1つ開き、直近3つの投稿に「広告」「PR」の表示があるか探してみましょう。ただ、見つからなくても、メモするだけで十分です。
校長のひとこと
シーラカンス校長は、授業中ずっと寝ていました。最後に片目だけ開けます。
「広告と書いてあっても、なくても、決めるのは自分じゃ……むにゃ」
放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「へい、らっしゃい!今日のパンは仕入れ中でやんす。準備中ですので、少々お待ちを」
教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。
次回予告
次の教室はのれん分け科です。そこで、マネッコ先輩が、看板を借りて商売を始める「のれん分け」の話を、法被姿で語ります。
一次情報は消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」でも確認できます。一次情報は消費者庁「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」でも確認できます。
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出典と確認日
- 消費者庁「ステルスマーケティング」
- 消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」
- 消費者庁「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」
- 金融庁「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」
- 金融庁「無登録で暗号資産交換業を行う者の名称等について」(金融事業者一括検索機能の案内)
- 確認日:2026年10月25日
この記事は学習用の情報で、契約や投資の勧誘や助言ではありません。契約や投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
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