この授業では、「AIで副業」をうたうサロンや講座の、契約前の確認点がわかります。そして、国民生活センターの2026年9月の公表を、図で読みます。
朝のホームルーム|AI副業サロンのチラシ
三岡新入生が、教室の後ろの扉から、そーっと忍び足で入ってきました。手には「AIで副業 会員募集」と書かれたチラシ。尾ひれが、ぷるぷる震えています。
「AI副業サロンは稼げるんですか? 契約の前に、何を見ればいいですか? それと、やめたくなったら、やめられますか?」
ぷくっ(ふくらみ1回)。村野教頭が出席をとり、チラシをそっと預かります。「疑問は3つですね。ただし、稼げるかどうかは、この授業では答えません。稼げるかどうかを請け合う公的資料は、見当たらないからです」
たとえば、毎月の会費がランチ数回分でも、1年なら金額は大きくなります。だから、契約の前に4つだけ見ます。なお、2026年10月25日時点の情報です。最新の情報は公式サイトで確認してください。
AI副業サロンの注意点
契約前の4確認
約3倍
1ビジネス講座の相談の数字
2平均購入金額(万円)
3契約前の4チェック
- 講座の内容と難易度を細かく見る
- Web会議でも、その場で決めない
- 月額でなく総支払額を確かめる
- 解約条件を細かく確かめる
4クーリング・オフの期間(書面を受け取った日から)
| 契約の型 | 当たる場合 | 期間 |
|---|---|---|
| 電話勧誘販売 | Web会議の勧誘など | 8日以内 |
| 業務提供誘引販売取引 | 仕事で収入と誘う | 20日以内 |
5物差しを1つ足す(Muse Spark)
- 写真の商品を比べる、プロンプトからミニゲームを作る、など
- 宣伝が収入の話ばかりなら立ち止まる(筆者の見方)
授業:AI副業サロンの注意点
教頭が黒板に「9月16日」と書きました。「国民生活センターが、その日に『ビジネス講座のトラブルにご注意』を公表しています。AI講座やSNS運用講座の相談が増えている、という内容です。要点は3つです」
1. 相談は、増える傾向にあります
国民生活センターによると、AI講座やSNS運用講座などのビジネス講座に関する相談は、増加傾向です。PIO-NET(全国の消費生活相談の情報網)の年度別の件数は、2020年度が1,169件、2025年度が3,551件でした。約3倍です。2026年度は、7月31日までの登録分で1,121件。前の年の同じ時期は821件でした。

事例も出ています。総額100万円を超えるクレジットを組んでオンラインのAI講座を契約し、支払いが難しくなった人。副業スクールを契約した後で、厳しい解約条件に気づいた人。副業の採用面接に応募したら、65万円のビジネス講座の契約になっていて、事業者間契約だから解約できないと言われた人もいます。
この内容は、INTERNET Watchも2026年9月24日の記事で伝えています。
三岡の体が、ぷくっとふくらみました(ふくらみ2回)。「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」

「月額の話ではありません」と教頭。「うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい。ですが、数字は見ます。2025年度の平均契約購入金額は、通信販売で64万円、電話勧誘販売(Web会議での勧誘を含む)で87万円でした」
2. 契約の型で、やめ方が変わります
以前は、SNS広告をきっかけに通信販売で契約するケースが多くありました。近ごろは、広告で知った事業者からWeb会議サービスなどで勧誘され、契約するケースも見られます。国民生活センターは、これが特定商取引法の電話勧誘販売に当たる場合がある、としています。
消費者庁の特定商取引法ガイドによると、電話勧誘販売では、法律で決められた書面を受け取った日から8日以内なら、書面または電磁的記録でクーリング・オフ(一定期間は無条件で解約できる制度)ができます。「この仕事で収入が得られる」と誘い、購入などの負担を求める業務提供誘引販売取引なら、20日以内です。
下の図のとおりです。どちらに当たるかは、契約の中身で決まります。迷ったら、消費者ホットライン188に電話してください。

ニッコリ先生が、軍服の襟を正します。「サロンの看板で、中身を判断するな。諸君、入学金は元が取れたか」

3. 契約前の4チェック
国民生活センターのアドバイスは、4つです。講座の内容と難易度を、広告や勧誘の印象だけでなく細かく確かめる。Web会議で勧誘されても、その場で決めない。月々の支払額だけでなく、総支払額を確かめる。解約条件を細かく確かめる。

もうひとつ、物差しを足しましょう。Metaが2026年4月8日(米国時間)に発表した「Muse Spark」の公式発表には、写真の商品を比べる、プロンプトからウェブサイトやミニゲームを作る、といった「できること」が書かれています。収入の話は書かれていません。講座の宣伝が、できることより収入の話ばかりなら、立ち止まるきっかけになります(筆者の見方です)。
なお、Meta AI(アシスタントの名前)、Muse Spark(そのアシスタントで動くAIモデル)、Muse(2026年10月23日に日本で提供が始まったパーソナルAIエージェント)は、別の名前です。
契約前の確認項目として、契約期間は自動更新か、解約の通知はいつまでにどんな方法か、違約金の額や算定方法は書かれているか、が挙がっています。
参考:代理店・フランチャイズ契約前の確認項目(手数料・期間・解約)
解約条件の見方は、別の解説記事でも詳しく書かれています。サロンでも、見る場所は似ています。
小テスト
Web会議で、高額なAI講座を勧められました。その場で契約するよう迫られています。国民生活センターが勧める対応は、どれでしょう。
- A 特典があるうちに、その場で契約する
- B その場で決めず、いったん冷静に検討する
- C 月額の安さだけを見て決める
答えはBです。国民生活センターは、その場で契約を決めず、いったん冷静に検討するよう案内しています。Cは、総支払額を見ていません。
今日の宿題
国民生活センターのサイトで「ビジネス講座のトラブルにご注意」の公表ページを開き、「消費者へのアドバイス」の4つをノートに写してください。5分で終わり、お金はかかりません。
校長のひとこと
シーラカンス校長は、授業の間ずっと寝ていました。最後に、のそりと首を上げます。
「稼げる話ほど、財布をなでてから聞くのじゃ……むにゃ。わからないことは、学校に聞いてね。コメントや各SNSで待っておる」
放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「へい、らっしゃい!今日のパンは仕入れの最中でやんす。準備中ですので、少々お待ちくだせえ」
教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。
次回予告
次の教室はのれん分け科です。法被のマネッコ先輩が、のれんを分けてもらうときの契約書の見方を、声を張って教えます。
一次情報は消費者庁「特定商取引法ガイド 業務提供誘引販売取引」でも確認できます。
合わせて読みたい
出典と確認日
- 国民生活センター「ビジネス講座のトラブルにご注意」(2026年9月16日公表):https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260916_3.html
- 消費者庁「特定商取引法ガイド 電話勧誘販売」:https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/telemarketing/
- 消費者庁「特定商取引法ガイド 業務提供誘引販売取引」:https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/businessopportunity/
- Meta「『Muse Spark』登場」(2026年4月):https://about.fb.com/ja/news/2026/04/introducing-muse-spark-meta-superintelligence-labs-first-model-built-to-prioritize-people/
- 報道(同じ内容の確認用):INTERNET Watch「説明と実態が大きく異なる『AI講座』や『SNS運用講座』に気を付けて!」(2026年9月24日):https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/2142039.html
- 報道(Muse Sparkの発表日の確認用):PC Watch:https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/2100373.html
- Meta「パーソナルAIエージェント『Muse』を日本で提供開始」(2026年10月23日):https://about.fb.com/ja/news/2026/10/muse-personal-ai-agent-launches-in-japan/
- 確認日:2026年10月25日
この記事は学習用の情報で、契約や投資の勧誘や助言ではありません。契約や投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
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