この授業では、「AIが運用する」とうたう投資の勧誘の見分け方がわかります。そして、調べる場所と相談先も学びます。
朝のホームルーム|AIが儲けさせる広告
三岡新入生が、スマホ画面を胸に押しつけたまま、教室の水草にぶつかりながら入ってきました。ぶかぶかのブレザーに、水草が一本ついています。
「教頭先生、SNSで『AIが自動で運用して増やします』という広告を見ました。AI投資詐欺の見分け方って、あるんですか? AIが運用って本当にあるんですか? それに、AIアプリに聞けば見分けてくれますか?」
ぷくっ(ふくらみ1回)。村野教頭が出席簿を閉じます。「三岡さん、出席。疑問は3つですね。順番に答えます」

たとえば、ランチ1回分のつもりで押したボタンが、借金への入口だったら。怖いですよね。そうならないために、広告を見て30秒でできる確認があります。
「AI運用」の勧誘は
登録と名義で確かめる
相談相手
1広告を見たら4歩
2AIアプリとの付き合い方
- 広告の画面を見せて、気をつける点を聞く
- 最終確認は金融庁の一覧でする
- 答えを登録の証明にする
- 口座番号などを入力する
3数字で見る
4似た名前を分けて覚える
授業:AI投資詐欺の見分け方
教頭が黒板に「AI」と大きく書き、その横に小さく「看板」と添えました。「要点は3つです」
1. 「AI」は看板。中身は別です
国民生活センターは2022年8月4日、暗号資産のトラブルを公表しました。その中に、20歳代の男性の相談があります(2021年12月受付)。職場の同僚に「AIが判断して暗号資産に投資するシステムでもうかっている」と誘われた、という内容です。
セミナーでも契約を促され、2つの消費者金融で借金するよう指示されました。男性は60万円を借りて、同僚に手渡しています。
つまり、「AI」と付いても、中身の安全は分かりません。AIは宣伝の言葉にも使えるからです。
三岡の体が、ぷくっとふくらみました(ふくらみ2回)。「借金までさせるんですか」

ニッコリ先生が、軍服の勲章をちゃりんと鳴らします。「AIと名乗る前に、まず名義を名乗らせよ。諸君、入学金は元が取れたか」
2. 見分けは、登録と振込先で
国民生活センターは2026年9月1日の公表で、日本の居住者を相手に株取引・FX取引・暗号資産取引などを行う者は、金融商品取引法または資金決済法に基づく登録が必要、と案内しています(2026年10月25日確認)。そのため、金融庁のサイトで登録の有無を調べるよう勧めています。
金融庁の「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」には、金融商品取引業者の一覧があります。2026年10月25日に開いたときは、2026年9月30日現在のものでした。さらに、無登録で営業して警告書が出た者の名称等も、別のページで公表されています。こちらは2026年10月23日の更新でした。
下の図のとおり、順番は4歩です。

もうひとつ、お金の動きも手がかりになります。国民生活センターは、通常の株やFX等の取引で、個人名義の銀行口座に振り込ませることはない、と説明しています。指定された口座が個人名義なら、振り込まないでください。
事例には、利益が出たので出金しようとしたら、高額な税金を支払うよう指示された、というものもありました。追加のお金を求められたら、そこで止まります。下の図が、3つの確認です。

資産運用を始める前の準備7手順の最後に、投資詐欺の手口と、不審な勧誘への確認の流れ、相談先(188、#9110)がまとまっています。
参考:資産運用を始める前の準備の手順を整理
相談先を先に控えておく話は、別の解説記事でも詳しく書かれています。
3. AIアプリは相談相手。判定役ではありません
Metaは2026年4月8日(米国時間)に、新しいAIモデル「Muse Spark」を発表しました。Meta AIアプリと、ウェブ版のmeta.aiで動いています。公式発表では、Meta AIは入力した文字を読むだけでなく、目の前の情報を見て理解できる、と説明されています。なお、Meta AI(アシスタントの名前)、Muse Spark(そのアシスタントで動くAIモデル)、Muse(2026年10月23日に日本で提供が始まったパーソナルAIエージェント)は、別の名前です。
三岡が小声で聞きます。「ひぇっ、それ、月いくらからですか?」 教頭は首を振りました。「料金は変わりやすいので、この授業では扱いません。公式で確かめてください」

そこで、広告の画面を見せて「気をつける点は?」と聞く使い方は、考えられます(筆者の例です)。ただし、AIの答えは、登録の証明書ではありません。しかも、AIは間違えることもあります。
下の図のとおり、AIには見方のヒントをもらい、最後の確認は金融庁の一覧でします。入力した内容の扱いは、各サービスの規約で確かめ、口座番号などの個人情報は入れません。

「うまい話のにおいは、だいたい分かります。だいたい」と教頭。「ですが、においは証拠になりません。証拠は、名義と登録です」
小テスト
「AIが自動で運用して増やします」という投資の広告を見ました。最初にすることは、どれでしょう。
- A 広告の会社に連絡して、すぐ申し込む
- B 会社名で、金融庁の登録の一覧を調べる
- C SNSで「AI」と書いてあるから安心だと考える
答えはBです。国民生活センターが、登録の有無を金融庁のサイトで確認するよう案内しているからです。
今日の宿題
金融庁の「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」のページを開き、「金融商品取引業者」の一覧に付いている「現在」の日付を探してください。見るだけで、5分で終わり、お金はかかりません。
校長のひとこと
シーラカンス校長は、授業の間ずっと寝ていました。最後に、のそりと片目を開けます。
「AIが何と言おうと、通帳の名義は嘘をつかん……むにゃ。わからないことは、学校に聞いてね。コメントや各SNSで待っておる」
放課後・購買部
購買部のマネッコ先輩「へい、らっしゃい!今日のパンは仕入れ中でやんす。準備中ですので、少々お待ちを」
教頭の補習(希望者だけ) もっと突っ込んで知りたい人へ。ウハウハ高等学校には、月額1,000円の有料オンラインコミュニティがあります。最新情報の配信、チャットでの質問、会員同士の交流ができます。入りたい人だけ、入学案内をのぞいてください。コラムは、これからもずっと無料で読めます。
次回予告
次の教室はのれん分け科です。法被のマネッコ先輩が、のれんを分けてもらうときのお金と契約の見方を、声を張って教えます。
一次情報は国民生活センター「SNSで著名人が勧める“もうかる方法” それって本当!?」でも確認できます。金融庁は、登録・免許を受けた金融機関の一覧や、無登録業者への注意喚起を公式サイトで公表しています。
合わせて読みたい
出典と確認日
- 国民生活センター「SNSやマッチングアプリ、友人・知人からの誘いをきっかけとした暗号資産のトラブル」(2022年8月4日公表):https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20220804_1.html
- 国民生活センター「SNSで著名人が勧める“もうかる方法” それって本当!?」(2026年9月1日公表):https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260901_1.html
- 金融庁「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」:https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyo.html
- 金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」:https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/mutouroku.html
- Meta「『Muse Spark』登場」(2026年4月):https://about.fb.com/ja/news/2026/04/introducing-muse-spark-meta-superintelligence-labs-first-model-built-to-prioritize-people/
- 報道(発表日の確認用):PC Watch「Meta、マルチモーダル推論モデル『Muse Spark』発表」:https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/2100373.html
- Meta「パーソナルAIエージェント『Muse』を日本で提供開始」(2026年10月23日):https://about.fb.com/ja/news/2026/10/muse-personal-ai-agent-launches-in-japan/
- 確認日:2026年10月25日
この記事は学習用の情報で、契約や投資の勧誘や助言ではありません。契約や投資の判断はご自身でお願いします。先生や生徒の名前はフィクションで、実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
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